第一席 サッカー

 私はサッカーが大嫌いだ。
 おじさんたちの中にも、夢中になってサッカーを応援している人がいるが、信じられない。だって、おじさんたちがもっとも嫌いなタイプのちゃらちゃらした若者が毬(まり)を蹴(け)っ飛ばしているんだよ、サッカーってスポーツは。

 たったひとつのボールを大人数で長い時間追いかけ回して、チョコチョコチョコチョコ。それでいて、たいして点が入らない。イライラして見ていられやしない。
 点が入ったときのあのハシャギようときたらない。両手を広げて飛び回る。野球でホームランを打ったとき、あんなに喜ぶか? サヨナラホームランならばまだしも、普通はホームランを打っても軽く拳(こぶし)を握るぐらいだ。とくにホームランバッターは打って当然という顔をしている。プロだからだ。
 あのサッカーの大騒ぎは、何かに似ていると思ったら、素人がボーリングでストライクをとったときと同じだ。ということは、あのハシャギようは、まぐれを喜んでのことなのだろう。

 それにゴールがデカすぎやしないか。あんなもの、私が蹴ったって入りそうな気がする。
 まあ、蹴ったことがあるが、つま先が痛かったなぁ。随分とつま先が丈夫な連中が集まってやっているゲームなのだろう。
 私がどうしてゴールがデカすぎると思うのかというと、他の球技を思い出してごらん。バスケットのゴールはボールよりひとまわり大きいだけ。ゴルフの穴も同様。ビリヤードもそうだ。つまり、球技のゴールは、使用するボールのひとまわり大きい程度の大きさなのだ。
 サッカーのゴールも、そのくらいにすべきだ。サッカーボールよりひとまわり大きいだけのゴールに遠くから蹴りこんだら、これは名人芸。大いに尊敬する。
 あのね、サッカーの論理でいくと、ゴルフの場合は穴がグリーンぐらいあることになっちゃうんだからね。

 私がサッカーで一番嫌いなのが、ゴールキーパーだ。仲間が懸命にボールを追いかけているときに、何もやることがないのだ。敵のエリアにボールがいっちゃっているときは平和な時代のお城の門番みたいなもんで、欠伸(あくび)をしていたって、なんら問題はない。
 だからだろう。ボールがゴールに近づいてきようものなら、その慌てふためきようといったらない。無様(ぶざま)である。
 男子たるものはどんなときでも慌てず、ましてやプロなのだから、どんとかまえていただきたいものだ。

 それと、あのリフティングってやつは何の意味があるのだ? 脚と頭を使ってボールを何百回も落さずに、その技は太神楽(だいかぐら)並みだ。でも実戦では使わないじゃないか。リフティングをしながらゴールまで走っていった、なんという兵(つわもの)は見たことがない。してみりゃ、無駄な芸だ。

 ヘディングはよしなさい。軽く頭をはたいただけでも無数の脳細胞がつぶれるといわれているのに、あんな硬い玉を頭に当てていたら、馬鹿になる。
 だいたい、頭は使っていいが手を使ってはいけない、というルールに無理がありすぎると思わないかな。

 試合前に選手が子供の手を引いてフィールドに登場する儀式が、偽善的でいやだ。女好きな連中がそろっているのだから、きれいな女の手でもひいて来いってんだ。
 監督がスーツ姿でベンチに居るのが不気味だ。野球で落合監督がスーツ姿でベンチでニヤついていたら変だろ!

2009年9月18日