第六席 ウィンタースポーツ

 今回の悪口の対象はウインタースポーツ。

 ウインタースポーツの不自然なところは、スポーツなのに厚着が多い。特に目立つのがスキー競技。寒いのは分かる。でも陸上競技の姿で飛んだり滑ったりしたら、もっといいタイムが出るのではなかろうか。寒がっている場合ではないと思う。

 スキー競技の中でも、尊敬できる分野もある。モーグルだ。厚着姿でスキー板をはめた状態で宙天高く飛び上がり回転をする。まるで天狗(てんぐ)さまだ。人間業(わざ)とは思えない。

 リュージュは間抜けだな。相当なスピードが出るそうだが、遊園地で遊んでいるようにしか見えない。

 女子フィギアスケートは、一昔前に比べると日本人の選手は様になってきた。だけども、化粧ばりばりのスポーツというのはいかがなものか。すっぴんで美を競っていただきたい。それにあのスタイルは西洋人に有利である。日本人は花魁(おいらん)の衣装を身にまとって三味線(しゃみせん)音楽で舞えば、敵なしだ。

 男子フィギアスケートは、まったく興味なし。

 女子スピードスケートは実に不思議だ。器量の良い子が少ない。それともこちらはフィギアと違ってスッピンだからそう見えてしまうのか。でも、スポーツとしてはこちらの方が健全な態度ではある。スピードスケートがフィギアのスタイルでやったら......これは楽しい。
 だけど、なんでスピードスケートは器量の悪い子ばかりで、その上化粧をさせず、頭からゴム生地の地底人みたいなウエアを着せて滑らせるのだろうか? ゴールへ飛び込んでくると、ほとんどの選手がゴーグルをはずして、頭からウエアをはずし、私は地底人ではない! とカメラに向かって主張しているように見えるのは私だけだろうか?

 スピードスケートのスタートをなんとかしてあげたい。100メートル走のようにストッパーのような機械を置くわけにはいかないのか? 何にもないから選手は自分たちでガジガジとスケートぐつで足場を固め、倒れないようにガニマタになり、その姿はまるで五条大橋の弁慶である。 そしてスタートの合図があると、カツカツカツと慌ててガニマタで走り出す。こんなかっこ悪い競技は他に類を見ない。
 カーブは軽やかに脚を交差させて実に美しいが、問題は直線だ。先ほどまでの慌てぶりはすっかり忘れて、両手を後ろに組んで休日のお父さんの散歩のようにのんびりと進んでいく。緊張と緩和と言えなくもないが、慌てていた奴(やつ)が、急に怠けていると私には見える。

 私が一番嫌いなウインタースポーツは、クロスカントリースキーだ。スキー板をはいて、のんびりと散歩をする競技だ。見ていてまったく面白くない。
 ノルディックスキーになると、ここにジャンプも加わるのだが、ジャンプ競技と比べると、その恐怖に天と地ほどの開きがある。
 見ているほうもジャンプは楽しい。だからぜい、ジャンプを連続でやる競技を作っていただきたい。
 たとえば10回続けてジャンプをするのである。飛距離とタイムをこれで争う。もちろん、ジャンプ台に登っていく時間も含まれるから、選手は大慌てでスキー板を担いで階段を駆け上がっていく。スタートは、ジャンプ台の頂点に横一列に並べるだけ並ぶ。10人は並べるだろう。そしてスタートの合図で10人がいっせいにジャンプするのだ。実に派手だ。
 着陸するとこの10人が階段を駆け上がる。そしてまたジャンプ。すさまじい競技になる。ウインタースポーツ最高の種目になること間違いなしである。

 これを見てしまったら、だれもスキーのお散歩競技は見なくなるでしょう。

 一時期話題になったカーリング。あれって別にウインタースポーツでなくてもいいのでは? 元々は氷の上で石ころを転がして遊んだものが始めらしいが、タイルの上でやったって、できそうだ。
 カーリングは、スポーツというよりゲームだ。氷上のチェスといわれているが、日本人からいわせれば氷上のおはじき。情けないのが、あのブラシの係。あの姿は、温泉宿の番頭が湯殿を掃除しているのとほぼ同じだ。スポーツをしているようには見えません。
 掃除人の格好であれをやったら、観客は絶対に掃除中だと思うだろう。
 スピードスケートやフィギアスケートを掃除人の格好でやったとしても、あのスピードとあの回転だから、掃除中だとはだれも思わないはずだ。
 格好を変えるとスポーツに見えないということは、スポーツとして問題があるといわざるを得ない。

2009年10月23日