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        <title>梧桐書院WEB連載</title>
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        <description></description>
        <language>ja</language>
        <copyright>Copyright 2010</copyright>
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        <item>
            <title>立川談春　上</title>
            <description><![CDATA[<p class="bodytxt">　<font color="blue">【登場人物】<br />
●立川談志......落語立川流家元、志らくの師匠<br />
●朝寝坊のらく（前座名・談々）......故人。落語立川流落語家、志らくの兄弟子<br />
●立川文都（前座名・関西）......故人。落語立川流真打ち、志らくの兄弟子<br />
●立川談春（前座名・談春）......落語立川流真打ち、志らくの兄弟子<br />
●立川志らく（前座名・志らく）......落語立川流真打ち、私</font></p>

<div align="center">
<p class="bodytxt"><font color="blue">～ハブとマングース～</font></p>
</div>

<p class="bodytxt">　「談春師匠は怖い」<br />
　これが立川談春に対する若手落語家の共通の見解だ。<br />
　「志らく師匠は談春師匠のこと、怖くないんですか？」<br />
　と聞かれたこともある。私の答えは、<br />
　「全然怖くないよ。むしろ向こうが怖がっているんじゃないの？　なにをしでかすかわからない野郎だとね。まあ、ハブとマングースの関係だよ」</p>

<div align="center">
<p class="bodytxt"><font color="blue">～「おはよう」と言うのが恥ずかしい～</font></p>
</div>
<p class="bodytxt">　談春兄（あに）さんは本来は実に優しい人だ。そしてものすごく他人に気を使う。打ち上げで飲んでいるときなんか、談春兄さんは全員に気を使う。皆ちゃんと飲んでいるか、食べているか、退屈はしていないだろうか、終電に間に合うかどうか。そのことを普通に表現したら、立派な旅行ツアーの添乗員になれる。<br />
　でも彼は気を使っている自分に照れて、わざと乱暴に振舞う。<br />
　「もう帰ぇればいいじゃねぇか。終電がなくなるんだろ、おい、ぐずぐずするな！」<br />
朝、会うと「おはよう」と言いながら私の膝（ひざ）を蹴（け）ってきたこともある。「おはよう」と言うのが恥ずかしいのである。</p>

<div align="center">
<p class="bodytxt"><font color="blue">～呼ぶのが照れくさい～</font></p>
</div>

<p class="bodytxt">　初対面の人を含めたグループでカラオケに行ったとき、女性タレントが私にクレームを付けてきたことがあった。<br />
　「談春さんってどんな人なんですか！？　今日はじめて会ったばかりなのに、おい、そこの女！　と言われました」<br />
　何々チャンと呼ぶのが照れくさい。だから「そこの女」になるのだ。</p>

<div align="center">
<p class="bodytxt"><font color="blue">～天国の志らく、地獄の談春～</font></p>
</div>
<p class="bodytxt">　とある落語会に呼ばれた談春兄さんが、終演後、そこの主催者を楽屋に呼びつけて1時間にわたって小言（こごと）を言ったそうな。私が同じ落語会に呼ばれたとき、主催者が談春兄さんのことで愚痴をこぼしてきた。<br />
　「志らく師匠と談春師匠とでは、まさに天国と地獄ですよ。本当に談春師匠はおっかなかった」<br />
　私は「柳に風」のところがあって、どんな悲運な状況でもそれを笑い話としてうけとめ、まず文句を言うことはない。よほど腹が立ったときは、所属事務所のマネージャーや社長に言いつけて、クレームをつけさせるか、あとは高座で文句を言うか、ブログで文句を書くか。陰湿なのである。<br />
　以前、これは落語会ではないが、妻と温泉旅行に行ったときの話。ある旅行会社に海外旅行の際、お世話になったのだが、向こうの手違いで朝食がつかなかった。そこで旅行会社がお詫びのしるしにと、国内旅行をプレゼントしてくれたのだ。<br />
　だが、その旅行で使ったホテルが最悪。テレビのコマーシャルで有名なホテルなのだが、夕食のひどいこと。オーダーバイキングで、そのメニューをみて呆（あき）れた。寿司に天ぷらはいいとして、カレーライスにソース焼きそば。海の家じゃあるまいし。そのどれもがまずい。ケタ外れにまずい。<br />
　でもその場では文句を言わず、部屋に戻ってから所属事務所に電話してすぐにクレームをつけてくれと頼んだ。それだけでは飽き足らず、私が連載している「キネマ旬報」のコラムにホテルの名前がだれでもわかるようにして文句を連ねた。映画のコラムだというのに、無理矢理映画と結びつけてホテルを攻撃してやった。<br />
　何が言いたいかというと、談春兄さんだったらそんなことはしない。その場でレストランの店員に文句を言い、旅行会社に怒鳴り込んでいたであろう。そうなると、ホテルの人は「談春という落語家は怖い」、旅行会社も「あの人はヤクザではないか」とびびるであろう。<br />
　でも本当に親切なのはどちらか。志らくよりも談春なのである。<br />
　どちらが本当に怖いかというと、談春よりも志らくとなる。<br />
　<br />
　実は志らくは魔太郎ではないかと自分で思っている。藤子不二雄のマンガのね。私の悪口を言うと、その人は病気になるというジンクスがあるぐらいだ。それに私が怒ると、その対象者が必ずと言っていいほど病気になるのだ。ひどいときには死んだりする。私の妻の昔の恋人が、妻にちょっかいをだしてきたことがある。私は怒り狂った。すると、数日後、男は病気になり、記憶喪失になってしまったのだ。さらに、妻をくどこうとした男は、私の怒りをかった数日後、交通事故で死んでしまった。<br />
「志らくの監督した映画は立川キウイの落語よりひどい」と言った快楽亭ブラックさんは、自身が脚本を書いた映画の撮影中、骨折をする事故に巻き込まれ、病院に搬送される際に「志らくの呪（のろ）いだ！」と叫んだらしい。ブラックさんは、その事故から数年の後、借金問題で立川流から除名になっている......。<br />
　志らくの話はいい。自分で書いていて恐ろしくなってきた。ついでにいうと、夫婦喧嘩をすると翌日、100パーセント、妻は高熱を出してしまう。歩道を歩いていて、あまりに自転車が危険な運転をしていたので、怒りを込めて小声ではあったが「自転車は車道を走れ！」と言ったとたん、5～6台の自転車が車道に飛び出していったことがある。一緒にいた妻がギャッと言った。だから私の話はいい。</p>

<div align="center">
<p class="bodytxt"><font color="blue">～江戸っ子の照れ～</font></p>
</div>
<p class="bodytxt">　談春兄さんの性格は江戸っ子そのものである。乱暴は照れの裏返しなのだ。ただあまりに虚勢を張りすぎて、誤解をうけることもしばしば。自叙伝『赤めだか』の爆発的なヒット以降、落語界では談春ブームが巻き起こり、東京で一番チケットのとりづらい落語家になった。そこで謙虚にしていればいいのに、吠（ほ）えまくる。　<br />
　「談春の野郎、ぶっ飛ばしてやる！」。<br />
　入院中の談志が私に会うなりそう言いはなった。体調を崩し大学病院に入院している師匠を私が見舞いに行った。するとおかゆを食べていた師匠がそう言って怒るのだ。<br />
　「あのな、談春のやつ、120万の仕事を断りやがったんだ。どんな理由があるか知らねぇが、腹が立ってな。俺が代わりに出てやる。それで、やつにどんな仕事があろうが、会場にこさせて俺の前座をやらせる。開口一番をやらせて、高座かえしをやらせる。ただでな」<br />
　実はこれは師匠の誤解だった。その仕事はギャラはいいが、落語をやるにはあまりいい状況ではなく、師匠のマネージャー（師匠の息子）が間に入って、断るつもりだったのが、先方が談春兄さんに電話をしてしまい、それで談春兄さんが断ったがために、それがストレートに師匠の耳に入り、とんでもねぇ野郎だ、となったのである。<br />
　売れてきて、ほうぼうで大きなことを言っていることが師匠の耳にも大かれ少なかれ入り、それで誤解を招いてしまったのだろう。<br />
　「談春は怖い」と思っているその大概が誤解であると私は思う。でも談春兄さんに言わせれば、怖かろうがなんだろうが、仕事が山のように入ってきて、ファンが押しかけてくるのだから文句はねぇだろうってことになる。</p>

<div align="center">
<p class="bodytxt"><font color="blue">～気遣い～</font></p>
</div>
<p class="bodytxt">　二人でタクシーに乗ったときのこと。名古屋の松坂屋落語会に向かうため、新幹線を降りた談春と志らくはタクシーに乗った。会場の地図は志らくがもっていた。<br />
　「運転手さん、松坂屋に行ってください。デパートの正面入り口ではなく、従業員の入り口なんです。これが地図です」<br />
　するとタクシーの運転手は愛想の悪い人で、「え？　従業員の入り口って......」とつぶやいて黙ってしまった。志らくが差し出した地図を見ようともしない。私は仕方なく地図を運転手の横に置いた。<br />
　「......おい、どこに行くのかわかっているのか！」<br />
　談春がすごみながら言った。運転手は無言のまま。<br />
　「おい。地図を見なくても行き先がわかるのかよ」<br />
　「松坂屋でしょ」<br />
　「だから行き先はわかっているのかって聞いているんだよ。おい、地図を見るのか見ねぇのか。こいつ（志らく）が渡したんだぞ」<br />
　慌てて運転手、地図を見出す。<br />
　「......やっぱり見ないと行けねぇんじゃねぇか」<br />
　「いや、確認を」<br />
　「うるせえ！　ぐずぐず言ってねえで、そこに行け！」<br />
　「兄さん、およしよ。松坂屋の従業員の入り口はわかりづらいところにあるんだから。あのう、運転手さん、正面の入り口のたぶん、真後ろあたりになると思いますから、よろしくお願いします」<br />
　一見、乱暴な人だが、談春兄さんは志らくに気を使ってくれていたのだ。志らくが地図を出したのに運転手は無視をした。これでは志らくがかわいそうだ、こういう態度の運転手はけしからん、これは叱（しか）るべきだ、とこうなったのだ。</p>

<div align="right">
<p class="bodytxt"><font color="blue">（つづく）</font></p>
</div>]]></description>
            <link>http://special.gotoshoin.com/shiraku/post-70.html</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">立川志らくの怒らないでください。</category>
            
            
            <pubDate>Thu, 18 Feb 2010 00:39:42 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>朝寝坊のらく　下</title>
            <description><![CDATA[<p class="bodytxt"><font color="blue">【登場人物】<br />
●立川談志......落語立川流家元、志らくの師匠<br />
●朝寝坊のらく（前座名・談々）......故人。落語立川流落語家、志らくの兄弟子<br />
●立川文都（前座名・関西）......故人。落語立川流真打ち、志らくの兄弟子<br />
●立川談春（前座名・談春）......落語立川流真打ち、志らくの兄弟子<br />
●立川志らく（前座名・志らく）......落語立川流真打ち、私</font></p>

<div align="center">
<p class="bodytxt"><font color="blue">～受けまくった立川ボーイズ～</font></p>
</div>

<p class="bodytxt">　1988年3月、のらく、文都（ぶんと）、談春（だんしゅん）、志らくは、二つ目に一緒に昇進した。そして1年後、私たちは、「平成名物TV　ヨタロー」（TBS）に「立川ボーイズ」として出演し、一躍人気者となった。<br />
　この番組は若手落語家のバラエティで、深夜放送。落語協会、落語芸術協会、円楽党、落語立川流の4団体の若手が3人1組になり、大喜利、コントなどをやって競う番組で、のらく、談春、志らくが組んで立川ボーイズを名乗ったのだ。<br />
　番組スタート時点では、コントのところは志らくと談春だけで出て漫才もどきを披露した。<br />
　無名の若手落語家の漫才なんかだれも聴かない。公開放送だったが、まったく受けなかった。しかし、番組内でのらく兄（あに）さんがちょいとしゃべると客席から反応があるのだ。若手といいながら、ひとりだけ明らかに中年で、禿（は）げているし、その姿が異様だったのであろう。<br />
　そこで志らくは、次の収録からコントにのらくに参加してもらった。これが大当たり。どっかんどっかん受けるのだ。ボケがのらく。志らくは危ないギャグを連発。談春がそれらに突っ込む。<br />
　のらくを主人公にしたいろいろなコントを私がこしらえた。のらくを魔法のランプの精にしたり、らくだのシャツに股引（ももひき）をはかせてキングコングに見立てたり、新聞紙で折った兜（かぶと）をかぶせて、下着に腹巻をさせて大魔神にしたり、金髪のカツラをかぶせて、悪魔にとりつかれた少女リーガンにして「エクソシスト」のコントをやったり、大暴れだった。<br />
　この立川ボーイズのコントが受けたので、１クールで終了のはずの番組が1年続いたのである。</p>

<div align="center">
<p class="bodytxt"><font color="blue">～のらく兄さんの恋～</font></p>
</div>

<p class="bodytxt">　収録スタジオには10代の女の子の追っかけがつめかけ、さながらアイドルであった。ただ、のらく兄さんのキャラは際物（きわもの）で、次第に客から飽きられていった。こうなるとどうにもならない。登場するたび、失笑だったが、志らくと談春の人気がすさまじかったので、この2人のコントの部分は受けるのであった。追っかけも志らく派、談春派に分かれ、2人が登場するだけでスタジオはキャーキャー大騒ぎであった。<br />
　失意のどん底におちたであろうのらく兄さんであったが、実はそのころ、バラ色の人生であったのだ。というのも彼は恋愛をしていた。ファンの子と付き合っていたのだ。相手は、フェリス女学院大学に通っている美しい女性とのこと。<br />
　あるとき、のらく兄さんが、こんなことを言った。<br />
　「志らくよ、コントでのおじさんの出番をもう少し多くしてもらえないかな。女が志らくさんばっかりＭＶＰをとってずるいって言うんだよ。おじさんもそろそろＭＶＰをとりたいしね」<br />
　ＭＶＰとは、その日の番組で一番面白かった落語家に与えられる賞である。初期のころはのらく兄さんも随分ともらっていたが、途中から志らくばっかりになっていたので、彼女にせがまれそう言ってきたのである。でも旬が過ぎてしまった人を復活させる腕は私にはなかった。<br />
　旬は過ぎても春が来ているのだからいいではないかと、時折私と談春兄さんでなぐさめたものだが、この恋も、実はのらく兄さんの一方的な勘違いであったという事実が発覚した。<br />
　彼女から私のところに苦情がきたのだ。「のらくさんがしつこくて困る」と。たぶん、最初のころは女も気を引くようなことを言ったのだと思う。そのうちにあまりにのらく兄さんが本気になってきたので、驚いて身を引こうとしたら、もう手遅れで、つまりストーカーみたいになってしまっていたのである。<br />
　「着物姿ののらくさんがうちのマンションの前にずっと立っているんです。もう怖くて怖くて」<br />
　女は電話口で泣いていた。数日後、のらく兄さんに事情を聞いてみた。<br />
　「いや、彼女と飲んだんだよ、居酒屋で。で、彼女の家が近所だというので、送っていくと言ったら、結構ですと言うんだ。それは「寄ってもいいわよ」というサインだと思うだろ？　女のイヤはイイということだもの。だけどかたくなに彼女が拒否するんだよ。帰られちゃうと困るから、彼女のハンドバッグを奪ったんだ。もってあげるよって言ってね。そうしたら、泣きながら逃げちゃったんだよ。後を追いかけてマンションを突き止めたんだけど、出てこないから、それでしばらく立っていたんだ。女心は分からないもんだよ」<br />
　ハンドバッグを捨ててでも逃げたかった女の恐怖が、まったくわかっていないのらく兄さんであった。<br />
　完全にふられているのにそれに気がついていない。「女のじらし」だと言ってきかない。<br />
　仕事が終わって、のらく兄さんと二人で食事をして、その際もずっと彼女の話に終始していて、そろそろ帰ろうとしたら、<br />
　「志らく、喫茶店にでもいかない？」とのらく兄さん。<br />
　「何か話でもあるんですか？」と尋ねると、<br />
　「いや、もう少し、おじさんの女の話を聞いていかないかい」<br />
　......そんな暇はないよ、兄さん！<br />
　そんなのん気なのらく兄さんも、数ヵ月後、ついに自分がふられたことに気がついた。随分と荒れた。自棄酒を飲んでいた。<br />
　そんなのらく兄さんを慰めようと、志らくと談春が彼に付き合った。場所は池袋の居酒屋。2軒3軒4軒の梯子酒（はしござけ）。<br />
　明け方のスナックで、酔ったのらく兄さんが、<br />
　「談春（はる）、このウイスキーを一瓶一気に飲んだら、おじさんは死ねるかな」<br />
　とつぶやいた。談春兄さんは、<br />
　「飲んで死にゃぁ、いいよ」<br />
　と吐き捨てた。志らくも談春も一晩中ぐだぐだ愚痴る兄弟子（あにでし）にほとほと愛想がつきていた。<br />
　朝、カラスが飛び交う池袋の繁華街を3人で歩いていた。始発で帰るためだ。するとのらく兄さんが叫んだ。<br />
　「もう少し、付き合って！　もう1軒だけ飲みに行こう！　兄弟子の命令だ。行くぞ！」<br />
　これには談春兄さんが切れた。<br />
　「いい加減にしやがれ、この禿げが！」<br />
　のらく兄さんをヘッドロックして駆け出すと、ゴミために投げ捨てた。<br />
　憐（あわ）れなりのらく兄さん。<br />
　着物姿の朝寝坊のらくが、「あぁあぁ」と情けない声をあげながら、朝の池袋のゴミ溜めに沈んでいた。</p>

<div align="center">
<p class="bodytxt"><font color="blue">～すごむ談春 VS 涙目のらく～</font></p>
</div>

<p class="bodytxt">　師匠の娘さんの結婚式で立川ボーイズが余興をやることになった。場所は東中野の日本閣。当日はパーティの手伝いもあり、余興の稽古（けいこ）もしないといけないので大忙しであった。私とのらく兄さんは早めに会場入りをして雑用をしていたが、談春兄さんがこない。<br />
　「談春兄さんはきっとまた競艇ですよ」と私が言うと、<br />
　「たまには小言（こごと）を言わないとな」と珍しく語気を強めるのらく兄さん。<br />
　「びぃしっと言ってやってくださいよ！」とあおる志らく。<br />
　遅れて談春兄さんが到着。のらく兄さんは真顔で言った。<br />
　「おい、談春（はる）！　どうして時間通りに来ないんだ。どうせまた競艇だろ！」<br />
　すると、談春兄さんの顔色が変わった。<br />
　「競艇じゃないですよ。仕事があってそれで遅れたんですよ。文句ありますか？」<br />
　仕事で遅れたのならば仕方がない。のらく兄さんも「ああ、そうだったのか」ですませればいいのに、<br />
　「なんだ、その言い草は！　俺は兄弟子だぞ！」<br />
　と談春兄さんを叱（しか）った。すると談春兄さんはすごんだ目をして、<br /><br />
　「......それがなんだってんだ。文句があるなら表に出ろよ！」
　この言葉にのらく兄さんは、<br />
　「いや、あのう、文句はないよ。もういいよ」<br />
　と涙目になって後ずさり。談春兄さんがいなくなってから私に、<br />
　「......談春（はる）は洒落（しゃれ）が通じないから困ったもんだよ、へへへ」<br />
　と笑って涙をごまかす情けないのらく兄さんがいた。</p>

<div align="center">
<p class="bodytxt"><font color="blue">～破門騒動～</font></p>
</div>

<p class="bodytxt">　『雨ン中の、らくだ』にも書いたが、彼の性格を如実（にょじつ）に表すエピソードだから、また書こう。<br />
　「平成名物TV　ヨタロー』でのらく人気が下降し始めたころ、彼の破門騒動が持ち上がった。<br />
談志があるとき、のらく兄さんに電話を入れたのだが、へべれけに酔っ払っていたのらく兄さんは、声の主が談志だということに気がつかなかったのだ。「俺だ」という談志に対し「どちらの俺さんですか？」と聞き返してしまったのだ。<br />
師匠は怒り狂った。すぐさま私のところに電話をかけてきて、<br />
　「のらくの奴は破門だ。師匠の声もわからねぇ。破門だと伝えておけ」<br />
　私は慌ててのらく兄さんに電話をした。<br />
　「破門になっちゃうから、明日すぐに詫びに行かないといけないよ！」<br />
　明くる日、のらく兄さんは練馬の師匠の自宅に飛んで行った。あとでのらく兄さんに電話で様子を聞くと、<br />
　「ああ、大丈夫。師匠、怒ってなかったから」<br />
　私も一安心。数日後、師匠に会うと、「のらくは破門だから」とまだ怒りが収まっていなかった。師匠が言うには、<br />
　「あいつ、来たよ、次の日。ヘラヘラ笑いながら。で、掃除だけすると、何も言わずに帰っちまった。なんだかわからねぇ」<br />
　私はのらく兄さんに「どうなっているの？」と聞いた。するとのらく、<br />
　「おかしいな。家に行ったとき、師匠、何にも言わないんだもん。もう怒っていないのかと思ったよ」<br />
　鈍感にもほどがある。<br />
　次の日、私と談春兄さんがのらく兄さんに付き添って、師匠の仕事場に詫びに行った。師匠は何を怒っているのかを優しく語ってくれた。要は酒はほどほどにしておけということだった。私と談春兄さんはしきりに頭を下げていた。しかし肝心ののらく兄さんが頭を一度も下げないのだ。師匠の楽屋から出て、2人はこの兄弟子を叱りつけた。<br />
　「なんで、弟弟子（おとうとでし）が頭を上げているのに、張本人の兄さんが下げないんだよ。兄さんがあそこで土下座をすれば師匠の怒りは収まるんだよ！」<br />
　このとき、この兄弟子の頭には「土下座」の文字だけがインプットされてしまったようだ。打ち上げで銀座の「美弥（みや」という師匠の行きつけのバーに行った。師匠がトイレに行こうとしたら、便所の前でいきなりのらく兄さんが土下座をしてしまったのだ。<br />
　「俺はそういう行為が一番嫌いなんだ！　どけ！」<br />
　だれがそんな時に土下座をしろと言ったよ、兄さん！<br />
　のらく兄さんはまた涙目で、<br />
　「だって土下座しろというから。お前たちにまた一杯食わされちゃったよ」<br />
　とつぶやいた。</p>

<div align="center">
<p class="bodytxt"><font color="blue">～談志 VS のらく～</font></p>
</div>

<p class="bodytxt">　それからしばらくたって、師匠が海外に出かけた。帰国のときは迎えはいらないと師匠からの通達があったが、ここがチャンスと私はにらんだ。のらく兄さんに、<br />
　「成田まで迎えに行くべきだよ。だれも弟子は行かないんだから、兄さんがひとりで待っていたら、許してもらえるよ」<br />
　と伝えた。のらく兄さんは私に言われるがまま、成田へと向かった。すると電話がかかってきて、<br />
　「志らく、師匠がいなくなっちゃたんだよ」<br />
　と泣き声である。なんでもバスに乗るために師匠に1万円札を両替してこいと言われ、戻ってみたら師匠がいなかったとのこと。私はすぐに師匠の家に向かえと指示をだした。<br />
　数日後、師匠が言った。<br />
　「あいつ、成田にきたよ。追い返すわけにもいかないよな。で、バスに乗ろうとしたら、細かい金がないんだ。俺の分はあるが、あいつの分まではなかった。それで『1万円をくずしてこい』とのらくに言ったんだ。見ていたら、遠くの方であいつが走り回っているんだ。するとバスが来たんだ。俺はバスに乗って帰るのが目的だわな。あいつを待つことが目的ではない。で、俺はバスに乗ってひとりで帰ったんだ。しばらくして、あいつ家にきたよ。『すみません』と謝るんだ。『どうしたんだ』と聞いたら、両替機がないから、お土産でくずしてもらおうと走りわまっていたんだと。『まあ、それはいいや。とにかく金を返せ』と言ったら饅頭（まんじゅう）の箱詰めを差し出しやがるんだ。『なんだ、これは』と聞いたら、どこも両替してくれないからこの饅頭を買ったんだと。『饅頭はどうでもいい。金を返せ』と言うと、饅頭の箱の上に8800円をのせるんだ。お釣りです、だとさ」<br />
　結局、1ヵ月の謹慎ですんだ。その代わり、酒は禁止となった。談志の弟である立川企画の社長の提案である。<br />
　「のらく、酒をやめるんだぞ」<br />
　と言うと、のらく兄さんは真顔で「一生ですか？」と聞き返した。<br />
　「一生とか、そんな話をしているんじゃない。とりあえず、今はやめろといっているんだ！」<br />
　社長も激怒していた。</p>

<div align="center">
<p class="bodytxt"><font color="blue">～廃業～</font></p>
</div>

<p class="bodytxt">　その数ヵ月後、のらく兄さんは落語家を廃業した。<br />
　「平成名物TV　ヨタロー」は終了したが、それでもまだ立川ボーイズの人気が続いていたので、単独ライブをやることになった。チラシも完成し、コントの台本を私が書き上げ、いざ稽古に入ろうとした前日、いきなり落語家を辞めるとのらく兄さんが言い出したのだ。<br />
　これには企画を立ち上げた立川企画の社長が怒った。<br />
　「とにかく志らくの家まで詫びに行け！　志らくが台本を書いているんだ。お前がやめるということになれば、志らくはまた2人用の台本を書きなおさなくちゃならないんだ。志らくが許すと言わなければ、辞めたらだめだ！」<br />
　社長から「これからのらくがお前の家に行くから、話を聞いてやってくれ」という旨（むね）の電話が入った。<br />
　事務所から我が家まで1時間もあればこれるのだが、3時間待ってものらく兄さんは来ない。これには社長が青くなった。きつく言い過ぎたから、思いつめて自殺でもしたんじゃないかと心配をした。3時間半経過して、のらく兄さんがやってきた。<br />
　「弟弟子のところに謝りに行くのは決まりが悪くてね。社長が行けというからそれで来たんだけど。途中で、お腹がすいたからカレーライスを食べてきた」<br />
　緊張感のない人だ。近所のファミレスで一通り話を聞いて、私は、<br />
　「兄さんの人生だから、兄さんの好きなようにやるしかない」<br />
　と言った。<br />
　帰り際、勘定を払う段になって、<br />
　「ここはやっぱり兄弟子の貫禄で全部払うべきかな」<br />
　とのらく兄さんは笑いながら言った。払って当然なのに、駄目な兄さんだな、でもこれがのらくって人なんだよな、と私は心の中で笑った。<br />
　のらく兄さんは本当に廃業してしまった。無理にでも引きとめるべきだったのかな。止めていれば、一緒にコントをやり、それが芸の糧（かて）となり、落語にも生きてきたのではないだろうか。<br />
　落語は下手でも、強烈な個性の持ち主だ。昨今の落語ブームで世間がほうっておくはずもない。<br />
　落語家をやめたから酒の量が増えて、それで身体を壊して命を縮めたのではないだろうか。<br />
　生きていたら、今ごろ志らく一門のいい参謀、おじさん格におさまっていたのではないか。<br />
　志らくの映画にも芝居にも出演していたのではないだろうか。<br />
　回転寿司もあの当時とは比べ物にならないほどきれいになって美味しくなった。絵皿をとって、ちょいといい酒を飲めたのではないだろうか。<br />
　私がコントをやらせなかったら、変に人気が出ることもなく、細々とではあるが、好きな酒をチビチビやりながら、「志ん生（しんしょう）は乙（おつ）だね」なんて言いながら、長生きできたのではないだろうか。</p>

<p class="bodytxt">　だけどね、兄さん、兄さんとコントをやっていたころが一番、楽しかったよ。あのころの兄さんは、だれよりも一番面白かったよ。<br />
　今でも時折、街中で着物姿の禿げを見ると、ひょっとしてのらく兄さんじゃないかと、後を追いかけている自分がいる......。</p>]]></description>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">立川志らくの怒らないでください。</category>
            
            
            <pubDate>Tue, 09 Feb 2010 00:00:22 +0900</pubDate>
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        <item>
            <title>朝寝坊のらく　上</title>
            <description><![CDATA[<p class="bodytxt">　<font color="blue">【登場人物】<br />●立川談志......落語立川流家元、志らくの師匠<br />●朝寝坊のらく（前座名・談々）......故人。落語立川流落語家、志らくの兄弟子<br />●立川文都（前座名・関西）......故人。落語立川流真打ち、志らくの兄弟子<br />●立川談春（前座名・談春）......落語立川流真打ち、志らくの兄弟子<br />●立川志らく（前座名・志らく）......落語立川流真打ち、私</font></p>
<p class="bodytxt">　のらく兄（あに）さんのことが忘れられない。時折、夢に出てくる。そのとき、私が必ず言う言葉が「なんだ、兄さん、生きていたんだ」。</p>
<div align="center">
<p class="bodytxt"><font color="blue">～酒のために死す～</font></p></div>
<p class="bodytxt">　朝寝坊（あさねぼう）のらく。前座名を立川談々（だんだん）といった。1954年生まれだから、志らくより九つ上である。談志に入門した時点で禿（は）げていた。その禿げ方はコントで使うハゲヅラのようであった。志ん生（しんしょう）と安酒をこよなく愛した噺家（はなしか）であった。<br />　死んでしまったらしい。「らしい」というのは、私は葬儀にも出ていないし、親族の方から直接訃報（ふほう）を聞いたわけでもない。ただ、落語ファンの人から、のらく兄さんの葬儀に参列したとを聞いただけ。<br />　だから今でもひょっとしたらどこかで生きているのではないかと......いや、やっぱり死んじゃったんだろうな。生きていたら、顔ぐらい出すはずだもの。</p>
<p class="bodytxt">　のらく兄さんは二つ目になって、少し売れて、それで落語家を廃業して、やがて酒のため死んでしまった。<br />　第一印象は悪かった。私が談志の弟子になろうと思っていたころ、落語会で高座返し（座布団を返したり、演者名を書いた「めくり」をめくる役割。前座が担当する）をしている彼を見たとき、なんて貧相な前座なんだろう、それに馬鹿そうだな、と呆（あき）れたのだ。<br />　当時、談志が、『現代落語論』のパート２『あなたも落語家になれる』を出版して、その中で「今の前座の弟子は馬鹿ばかり。落語を全く覚えようともしねえんだ」と書いていて、私は自分が弟子になったら師匠が驚くほど落語を覚えてみせるのに、と思い、師匠を嘆かせる弟子を軽蔑（けいべつ）していた。そんなときに、のらくを見たのだから、こいつが師匠の言う「馬鹿」かと思ったのである。</p>
<div align="center">
<p class="bodytxt"><font color="blue">～その芸にとまどう客～</font></p></div>
<p class="bodytxt">　入門してしばらくは、のらく兄さんに会う機会がなかった。というのも、前座は人間修業の名目で築地の魚河岸（うおがし）に通わされていたのだ。のらく兄さんの行き先は包丁屋。不器用な人だったが、包丁とぎには才能があったらしく、親方から随分とかわいがられていたそうだ。落語家を辞めて後継ぎになれ、と言われたこともあるらしい。<br />　入門して1ヵ月ぐらいで初めて対面した。実に優しいおじさんだった。気が小さくて、声も小さい。つぶらな瞳（ひとみ）。ちょいととんがった口。小柄でおっとりとした善人であった。<br />　とにかく天然で、やることなすこと実にトンチンカン。談志が「おい、談々、のせものをよこせ」と言ったのを聞いて、のせものとは落語家の符丁で「食べ物」のことなのに、彼は談志の頭の上に帽子をのせてしまった。<br />　落語はからっきし下手。志ん生の真似（まね）をしているつもりなのだろうが、前座がそんなことをしたって芸になるはずもない。志ん生はずぼらで、かなりいい加減に落語をやっているようにみえるが、若いころ、どれだけ稽古（けいこ）をしたことか。<br />　のらく兄さんは、志ん生のずぼらなところだけを真似する。だから本当にずぼらな芸になってしまい、そのうえ声が小さいから客はどう反応していいかわからずただただとまどう。</p>
<p class="bodytxt">　『どざえもん』という小噺（こばなし）が大好きで、どういう小噺かというと、<br />　「兄ぃの前だが、昨日大川で水練の達人を見たぜ」<br />　「どんなんだった？」<br />　「顔を水につけたまんま、一度も息継ぎをせず、すーっと川下に向かって流れていったんだ」<br />　「おい、それはひょっとしたらどざえもんじゃねえのか？」<br />　「いやぁ、名前までは知らねぇ」<br />　のらく兄さんはいつもこの小噺をやっていた。一度、前にあがった落語家がこの小噺をやってしまったことがあった。さすがにあきらめるだろうと思っていたら、高座にあがったのらく兄さん、<br />　「えー、ただ今、前の人がどざえもんの小噺をやっておりましたが、私もこの噺が大好きなので、私もやってみましょう」<br />　と言って、まったく同じ小噺を語り始めたのだ。<br />　「いやぁ、名前までは知らねぇ」......ったて受けるはずがない。客はいい迷惑である。</p>
<div align="center">
<p class="bodytxt"><font color="blue">～「掃除は野暮だよ」～</font></p></div>
<p class="bodytxt">　のらく兄さんの至福の時間は酒を飲んでいるときである。一番のお気に入りの飲み場所は「回転寿司」。<br />　「いいよ、回転寿司は。まず、3枚ほど好みの皿をとるんだね。100円のやつね。で、上の魚だけを剥（は）がして、これを肴（さかな）にちびちび酒を飲むんだ。2合は飲めるね。で、お腹がすいたら、残ったしゃりをガリで食うんだ。乙（おつだね」<br />　ちっとも乙じゃない。貧乏臭いだけ。でも、かわいらしい人でもあった。<br />　師匠が海外旅行に行くとき、見送りの際、のらく兄さんはすっと師匠のそばにより、「師匠、ご無事で」とお守りを渡していた。お母さんのようであった。</p>
<p class="bodytxt">　師匠の家の大掃除をするとき、志らくと談春（だんしゅん）兄さんは師匠の目の届かないところに行って、掃除をする。<br />　談春兄さんの掃除はひどかった。師匠のテーブルの上を拭（ふ）くのに、物をどかさないのだ。布巾（ぞうきん）を端を持って、物と物の間をつーっと通らせるだけ。そして師匠が談春兄さんが掃除している部屋に入ってくると、何気なく隣の部屋に逃げてしまう。師匠が隣に来ると、また次の部屋に逃げるのだ。当時、師匠の家にはパックマンというゲームのマシーンが置いてあって、我々は師匠から逃げる談春兄さんを見ては「パックマンだ」と笑ったものだ。<br />　のちの文都（ぶんと）、当時の関西（かんさい）兄さんは師匠が見えるところで必死に掃除をする。「わては掃除をしてまっせ！」というのをアピールしていたのだろうが、師匠の目に付くところにいるということは、その分だけ小言をくらいやすくなる。のべつ怒鳴られていた。<br />　で、のらく兄さんは力仕事は一切せず、師匠の書斎のすみで、談志の資料の整理を淡々とこなしていた。師匠が頼んだわけでもないのに、まるで自分は談志の秘書のような顔をして整理をしていた。<br />　「兄さんも掃除をしてよ」と言うと、<br />　「掃除は野暮だよ」<br />　前座のセリフではない。</p>
<div align="center">
<p class="bodytxt"><font color="blue">～カモのらく　VS　ギャンブラー談春～</font></p></div>
<p class="bodytxt">　前座のあいだは、落語はいっこうにうまくならなかった。のべつとちっていた。とちっても落語家はうまいことごまかすものだが、のらく兄さんはそれができない。ただただ慌てふためく。その姿が面白いので、わざと間違えやすい落語を、私と談春兄さんでやらせたものだ。<br />　「おじさん（自分でおじさんと言っていた）、今日、なんの落語をやろうかな。『狸（たぬき）』はやりすぎて飽きちゃったし」<br />　「兄さん、たまにはちょいと珍しい噺をやってくださいよ」と談春。<br />　「この間、志ん生の『千早振（ちはやふ）る」をテープで聴いたんだけど、あんなふうにやりたいね」<br />　「やったらいいじゃないですか」と志らく。<br />　「でも、まだちゃんと覚えていないんだよ」<br />　「兄さんならば、一（いち）か八（ばち）かでできちゃう」と煽（あお）る談春。<br />　「兄さんの『千早』、聴きたいなぁ」と無責任なことを言う志らく。<br />　「じゃあ、ちょいと冒険してみようか」と、まんまとひっかかったのらく。<br />　案の定、途中でセリフが出てこないで、高座の上で立ち往生。客は凍りつく。舞台そでで大爆笑の談春と志らく。この二人はピノキオをだます猫と狐である。</p>
<p class="bodytxt">　時効だから話すが、博打（ばくち）をしても、のらく兄さんはよく負けていた。一度、談春、のらく、志らくでトランプ博打をしたことがある。私はギャンブラーではないが、ここ一番の集中力がすごくて、時折神がかり的になることある。だからあまり負けない。談春兄さんは根っからのギャンブラー。本物である。のらく兄さんは......ただの禿げちゃびん。二人からすると良いカモだ。<br />　数時間の後、談春兄さんが大勝をして、のらく兄さんはおけらになってしまっていた。帰り道、のらく兄さんがか細い声で、<br />　「談春、随分と勝ったんだから、おじさんに帰りの電車賃をだしてくれないかい」<br />　すると談春兄さんは、<br />　「あれ？　帰りの足代も計算していなかったの？　博打をうつ資格がないな。金はあげないよ」<br />　と笑いながら言い放った。のらく兄さんはしょんぼりして、私に愚痴をこぼした。<br />　「おじさんは情けないよ。ひとまわりも下の子供にこんなことをいわれてね」<br />　この「子供」という言葉に談春兄さんが怒った。<br />　「子供に博打で負けるやつがどこにいるんだ！　千葉まで歩いて帰りやがれ！」<br />　のらく兄さんは千葉に住んでいた。私がそっと交通費を貸してあげた。それなのに、<br />　「志らく、今日、ギョーザを食べたでしょ。口が臭いよ」<br />　金を貸してくれた人に言う言葉じゃない。</p>
<p class="bodytxt">　1988年3月、のらく、文都、談春、志らくは、二つ目に一緒に昇進した。そして1年後、私たちは、「平成名物TV　ヨタロー」（TBS）に「立川ボーイズ」として出演し、一躍人気者となるのである。</p>
<div align="right">
<p class="bodytxt"><font color="blue">（つづく）</font></p></div>]]></description>
            <link>http://special.gotoshoin.com/shiraku/post-64.html</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">立川志らくの怒らないでください。</category>
            
            
            <pubDate>Mon, 01 Feb 2010 20:31:41 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>立川流四兄弟</title>
            <description><![CDATA[<p class="bodytxt"><font color="blue">【登場人物】<br />●立川談志......落語立川流家元、志らくの師匠<br />●朝寝坊のらく（前座名・談々）......故人。落語立川流落語家、志らくの兄弟子<br />●立川文都（前座名・関西、二つ目・談坊）......故人。落語立川流真打ち、志らくの兄弟子<br />●立川談春（前座名・談春）......落語立川流真打ち、志らくの兄弟子<br />●立川志らく（前座名・志らく）......落語立川流真打ち、私</font></p>
<p class="bodytxt">　昨年2009年末、立川文都（たてかわぶんと）が胃がんで死んだ。49歳。私より入門が1年半早かった先輩の落語家である。</p>
<p class="bodytxt" align="center"><font color="blue">～文都と談春～</font> </p>
<p class="bodytxt">　文都兄さんとは前座修行を共にした同志であるが、実のところ、前座の頃はあまり付き合いがなかった。というのも、私より上の前座は、当時、東京・築地の魚河岸（うおがし）に修業に行かされていたのだ。談志が落語協会を脱退し、柳家小さん師匠に破門され、立川流落語会を創設して自ら立川流家元におさまり、芸能人の弟子を多数とり、ビートたけし、高田文夫、上岡龍太郎、横山ノック、山本晋也などなど。<br />　で、弟子から上納金をとり、世間の注目を集めたが、定席（じょうせき）に出ることを禁止され、談志にとってはそんなことは痛くもかゆくもないのだが、弟子の修業の場がなくなり、それで談志が出した結論が、築地の魚河岸で人間修行をしてこい、であった。<br />　だから当時の前座は毎日、夜明けと共に築地に出かけ、無給で働いていたのだ。私は前座が全員築地に行った直後に弟子入りをし、高田文夫先生の紹介ということもあり、築地には行かずにすんでいた。だから築地組の文都兄（あに）さんとは、普段顔を合わせることがなかったのである。<br />　でもたまに楽屋などで一緒になると、面白い人だった。間違いなく、売れる落語家だと思った。東京の落語界では珍しい大阪の落語家。素人時代に漫才をやっていてそこそこ大阪で売れていた経験もあり、普段の会話がとてつもなく面白かった。当時は大阪出身というところから、立川関西という名前であった。当人がいつも愚痴をこぼしていた。<br />　「大阪出身だから関西だなんて、白い犬にシロとつけるようなもんやないか」と。<br />　ただ気が小さく、神経質なところがあった。さらに悲運の人だった。運が悪いのである。すぐ下の後輩が談春。年齢が16歳。落語家として天性の口調の良さをもっていて、談志にも可愛がられていた。談春は頭が切れ、小ずるいところがあったので、大人の関西はのべつこの談春に腹を立てていた。</p>
<p class="bodytxt" align="center"><font color="blue">～「おびえる前座さん」事件～</font> </p>
<p class="bodytxt">　こんなことがあった。とあるテレビのドキュメンタリー番組のカメラが談志の楽屋に入った時のことだ。カメラが回るというのに、師匠の着物にカビが生えていたのだ。その着物を持ってきてしまったのは何を隠そう志らくだ。私はカビにはまったく気づいていなかった。カメラが回り始め、テレビに映りたいのかどうか知らないが、談春兄さんが師匠に着物を着せようと支度を始めた。<br />　すると着物にカビが。<br />　談春はすぐに気がつき、何食わぬ顔で楽屋から出て行き、舞台袖で働いていた関西に、<br />　「兄さん、師匠が呼んでいますよ」<br />　と声をかけた。関西は言われるがまま、楽屋へいった。すると談志が、<br />　「おい、着替えるぞ」<br />　と言いだした。ちょうど楽屋に入った関西はすぐさま、着物を師匠に着せようとした。すると談志が着物のカビに気がつき、激怒した。<br />　「ちゃんと陰干しをしねぇから、こんなことになるんだ！　間抜けめ！」<br />　そう怒鳴ると、そばにあった湯飲みを関西めがけて投げつけた。湯飲みは、関西のすぐ横の壁にぶつかり粉々に砕けた。<br />　その一部始終がテレビで放映されてしまった。<br />　談志が湯飲みを放り投げ、関西のそばで砕け散る。<br />　青ざめた表情の関西の顔の下にテロップが出た。<br />　「おびえる前座さん」<br />　さらにナレーションで「若い前座のしくじり」。<br />　関西兄さんはなにひとつ悪くない。<br />　でも一事が万事、いつもこんな感じで師匠に叱られていたのだ。</p>
<p class="bodytxt" align="center"><font color="blue">～「戸塚ヨットスクール」秘話～</font> </p>
<p class="bodytxt">　運が悪い代表的な話がある。春風亭栄橋（しゅんぷうていえいきょう）師匠がパーキンソン氏病にかかり、談志がなんとか彼の病を治したくて、友達である戸塚ヨットスクールの校長に話をした。<br />　ドーパミンを出せばどんな病気でも治ると戸塚校長。ならば栄橋を治してやってくれと談志が言い、結果、栄橋師匠は戸塚ヨットスクールに入ることになった。<br />　ついては付き人が必要だということで、談志の弟子がお供をすることになったのだ。談々（後の朝寝坊のらく）、関西、談春、志らくの順番でついていくことになった。期間はひとり3週間ぐらいであった。<br />　ただの付き人ではない。一緒に授業を受けないといけない。早くに起床して、掃除に体操、ヨットに乗って海にでて、授業が終われば栄橋師匠のお世話をするという過酷な毎日。<br />　談々、関西、談春の3人はちゃんと仕事をまっとうしたが、志らくは2日で帰ってきてしまった。というのも、間のいいことに父親が病気で倒れたので、これ幸いにと私は逃げ出してしまったのだ。すぐに代わりの弟子が行かないといけなくなり、順番でまたまた関西が行く羽目になったのである。<br />　結局、志らくは2日に対して、関西は6週間も、戸塚ヨットスクールで過ごすことになったのである。</p>
<p class="bodytxt" align="center"><font color="blue">～「つめきりをもってこい」事件～</font> </p>
<p class="bodytxt">　師匠の自宅で、師匠が「つめきりをもってこい」と怒鳴った。すぐそばにいたのは談々。しかし談々には師匠が何をもって来いと言ったのかが聞き取れない。聞き返せばいいのに、隣の部屋にいた関西に、<br />　「おい、師匠がもってこいとさ」<br />　と告げた。関西はなんだかわからない。ただ慌てて、部屋の中をキョロキョロしていた。それを見た談志が、<br />　「おい、関西、俺がなにを持って来いといったのかわかっているのか？」<br />　「いえ、わかりまへん」<br />　「馬鹿野郎！　分からないでリアクションだけするな！」。</p>
<p class="bodytxt" align="center"><font color="blue">～イチゴ事件～</font> </p>
<p class="bodytxt">　関西兄さんが師匠と地方に旅に行った時の話。仕事が終わり、次の日の新幹線の中で師匠が突然、<br />　「おい、関西。ホテルの冷蔵庫にあったイチゴはどうした」<br />　関西にはまったくいちごの記憶がない。忘れ物がないように師匠の部屋を確認するのも弟子の仕事の一つである。関西は正直に、<br />　「忘れてしまいました」<br />　と詫びた。談志は、<br />　「弁償しろ」<br />　と激怒した。関西は慌ててホテルに電話を入れた。するとホテルの担当者が、<br />　「捨ててしまいました」<br />　と詫びた。<br />　「なんで捨てたりするんでっか！」<br />　と悲痛な叫びをあげた関西であったが、<br />　「いえ、お客様、イチゴはふたつしかなかったのです」<br />　「2パックでっしゃろ？」<br />　「いえ、2個です。そのうちのひとつが腐りかけていて、もうひとつが食べ欠けでしたので、捨ててしまいました」<br />　「............」<br />　関西は、新しいイチゴを買って師匠に弁償した。実に悲運だ。</p>
<p class="bodytxt" align="center"><font color="blue">～名産品事件～</font> </p>
<p class="bodytxt">　師匠と地方に行くと、仕事の関係者からその土地の名産をお土産にいただくのは日常である。重たいものならば宅配便という手段があるが、談志はそれを嫌う。弟子を連れて来ているのだから、弟子に運ばせる。<br />　関西兄さんが群馬県の鬼石に行った時、談志が、<br />　「ここの名産はなんだい？」と尋ねたら、先方が、<br />　「石です」<br />　と答え、関西は重たい石を担いで帰ってきたことがある。</p>
<p class="bodytxt" align="center"><font color="blue">～四兄弟、そろって二つ目に昇進～</font> </p>
<p class="bodytxt">　関西兄さんが前座から二つ目に昇進したのが昭和63年3月。先輩の談々、同期の談春、後輩の志らくと同時昇進であった。<br />　談々は「朝寝坊のらく」に、関西は「立川談坊」にそれぞれ改名をした。<br />　昇進披露宴は東中野の日本閣。我々4人は余興を考えた。<br />　ひとつは、当時光GENJIが人気者だったので、それをまねて、それぞれがローラースケートを履いて踊りながら歌うというもの。もうひとつは、談志が好きな戦時歌謡を熱唱することであった。<br />　とにかくローラースケートの練習をしなくてはいけないと、談坊兄さんが、振り付けを考え、後楽園のスケート場で我々に指導をしてくれた。さらに、衣装も談坊兄さんがＴシャツにそれぞれの名前を染め抜いたものをこしらえてくれた。<br />　そして戦時歌謡は私の得意分野だったので、志らくが選曲をした。師匠が大好きな小野巡の「守備兵節」である。ただこの歌のカラオケがない。そこでパーティ当日、バンドに演奏をしてもらうことにしたのだが、このバンドも談坊兄さんの調達であった。当然、談坊兄さんがバンドに頭を下げて、戦前の軍歌をコピーしてもらった。<br />　パーティ当日、ローラースケートは客に大受け。談志も一言、<br />　「スケートを履いて歌うというアイディアは面白い」<br />　ジャニーズのアイディアです......。<br />　そして「守備兵節」。客はポカーンとしていたが、談志は大喜び。壇上に駆け上がってきて、一緒に歌い始めた。それも志らくの肩を抱いて。確かに「守備兵節」を選んだのは志らくだが、この余興に全力を尽くしたのは談坊兄さん、なのにまったくその努力が報われなかった。</p>
<p class="bodytxt" align="center"><font color="blue">～立川ボーイズ結成～</font> </p>
<p class="bodytxt">　二つ目になり、数年が過ぎ、ある時、談坊兄さんが私にこんな話を持ちかけてきた。 <br />　「志らく、ユニットを組まへんか。今の時代はユニットや。ふたりで漫才やコントでもやらにゃ、落語家として芽が出ぇへんぜ」<br />　私はこの話を保留にしていた。先輩とコンビを組むというのがどうも気が重たかったのだ。<br />　ところがその直後、ＴＢＳから深夜番組のオファーが来た。若手落語家を使ったバラエティである。「平成名物TVよたろう」。私は談春とオーディションに出かけた。談春は先輩ではあるが、前座の頃からのべつつるんでいた仲間だったし、師匠の冠番組で二人でお葉書コーナーを担当していた経験もあったので、その流れになったのは仕方のないことだった。<br />　テレビ局は3人落語家がほしいといってきた。そこで仲間に入ったのがのらく。おそらく談坊兄さんは、志らくにユニットの話を蹴られたから、プライドがあって参加しなかったのであろう。だが、番組は大当たり。のらく、談春、志らくは「立川ボーイズ」となり、10代の女の子のアイドルになったのである。<br />　そして、真打ちに昇進したのは志らく、談春、談坊の順。年期は談坊、談春、志らくなのに。</p>
<p class="bodytxt" align="center"><font color="blue">～「志らくは、ええなぁ」～</font> </p>
<p class="bodytxt">　「志らくは、ええなぁ。どうしてそんなに自分に自信をもって、ずけずけと生きていけるんや」<br />　と、ずいぶんとうらやましがられたことがある。私は天上天下唯我独尊的生き方をするタイプ。他人は他人、自分は自分。尊敬している人や好きな人に好かれたいが、どうでもいい人からは嫌われようがどうしようがまったく気にしない。でも文都兄さんは違った。だれとでもうまく生きていきたかった。気を使いまくっていた。気を使わないように見える志らくや、ずる賢く世渡りしているように見える談春が落語界でちやほやされるのを、兄さんは忸怩（じくじ）たる思いで見ていたに違いない。</p>
<p class="bodytxt" align="center"><font color="blue">～悲運の人～</font> </p>
<p class="bodytxt">　やがて談坊は、真打ちに昇進して「文都」になった。一度結婚をしているが離婚した。糖尿を患い、病院通いが続いていた。正月の立川流のパーティで文都兄さんが、<br />　「志らく、だれかきれいな子、紹介してくれへんか。お前は演劇をやっているんやから、女優さんとかたくさん知り合いがおるよな」<br />　と話しかけてきた。向こうは冗談のつもりだったのだろうが、思わず、<br />　「兄さん、私の芝居に出ませんか。きれいな女の子とすぐに知り合いになれますよ」<br />　「ほんまか」<br />　このわずか数秒の会話で文都兄さんは、私が座長をつとめる劇団「下町ダニーローズ」の公演に出演することになった。「リカちゃんと怪獣」という芝居だった。男の子と女の子のオモチャ箱のオモチャの物語。私は邪悪なドラえもん。文都兄さんが気弱な、でも金にがめつい招き猫の貯金箱。芝居のラストは、男の子のオモチャ箱と女の子のオモチャ箱のオモチャがひとつになって、幸せに暮らしていくのだが、招き猫がこうつぶやく。<br />　「ここはオモチャの楽園やなぁ」<br />　芝居は成功し、打ち上げの席では、文都兄さんは女優に囲まれて大はしゃぎであった。役者仲間はその光景をみてつぶやいた。<br />　「文都さん、自分が楽園になっているぞ」<br />　次の芝居にも文都兄さんは出演した。向田邦子原作の名作「あ・うん」である。志らくの芝居が落語家の余興から本格的な芝居に移行していたったきっかけの作品である。文都兄さんの役はイタチというあだ名の卑屈な男。文都兄さんは仕事の都合でずっと出演することができなかったので、三遊亭楽春さんとのダブルキャストであった。この芝居の公演になんと山田洋次監督が観に来てくれることになった。役者は大喜び。しかし山田監督が来たのは、楽春出演の時であった。<br />　「わいの芝居、山田監督に観てもらいたかったわ......」<br />　やっぱり悲運である。<br />　この「あ・うん」が次の年、向田邦子没後25年ということで再演されることになった。NHKが劇場中継することも決まった。しかしキャストは入れ替えとなり、文都さんはキャスティングからもれてしまった。それ以降、私の芝居に出演することはなかった。</p>
<p class="bodytxt" align="center"><font color="blue">～最後の会話～</font> </p>
<p class="bodytxt">　亡くなるひと月前。落語会でご一緒した。場所は吉祥寺の前進座。談志独演会。文都兄さんは談志の前をつとめることになっていた。その時、文都兄さんはすでにがんに侵され、大阪の病院に入院中ではあったが、久しぶりの師匠との共演であったので、心待ちにしていて、なにがなんでも一席やるつもりでいた。<br />　それなのにその会の数日前、談志が体調不良のため、落語会をすべて休むと発表してしまったのである。それでも談志は「文都が出演するのならば、顔だけは出す」と言った。でも落語はできないのであるから、談志の穴をだれかが埋めなければ会が成立しない。そこで談志の代演で白羽の矢が立ったのが、志らくであった。<br />　文都兄さんはさぞかし複雑な思いであったろう。自分が師匠と一緒に出演できる落語会に師匠が出られなくなって、その代演が後輩の志らくとは......。<br />　プログラムにも志らくの名前がでかでかと書かれ、文都は小さく記されていた。私は実に申しわけない気持ちであったが、詫びるのも変な話なので、普段通りにしていた。がんに侵されてから文都兄さんと会うのはその日が初めてである。顔色が尋常じゃないほど悪い。文都兄さんは私を見るなり、<br />　「志らく、どうやったらお前のように生きらるんかいな」<br />　と、おなじみのセリフをぶつけてきた。<br />　その日、文都兄さんは『はてなの茶碗』という代表的な上方落語を高座にかけた。本当は、談志は開演前に来る予定だった。文都の高座を見るためだと思う。でも師匠はこなかった。文都兄さんが一席終えた直後、談志は現れた。談志も文都同様入院先から来たのだが、早めに出たものの、車が大渋滞に巻きこまれ、文都の高座に間に合わなかったのだ。<br />　楽屋では師匠と文都兄さんはなにやら病気の話をしていた。師匠が楽屋からいなくなると、文都兄さんは私に言った。<br />　「師匠とはいつも病気の話ばかりや。お前とは芸の話をするのにな」</p>
<p class="bodytxt">　私は文都兄さんになにかしてあげられることはないのかと思ったが、なにも思い浮かばない。それに後輩の志らくが先輩になにかをしてあげるというのもおこがましいし、第一、文都兄さんがそれを望んでいないはずだ。志らく・談春は、文都からすれば嫉妬の対象でもあっただろう。<br />　でも私の口からこんな言葉が出てしまった。<br />　「兄さん、私の知り合いの役者さんが、人間の寿命をのばすことができる不思議なパワーを持っているんです。信じられないでしょうが、それによって長生きした人がたくさんいるんです。もし、これはどうにもならないということがあったらその人に助けてもらうよう頼んでみます」<br />　「でも、金がかかるんやろ」<br />　「いえ、そういう怪しい商法ではなく、お金は一切かかりません」<br />　「さよか。じゃあ、もしもの時は頼むで」<br />　その役者にそれほどの力が本当にあるのかどうか、私も半信半疑ではあったが、なにかこの兄弟子のためにしてあげたいと思って、つい言ってしまった。でも文都兄さんは、そんな怪しげな話に、真顔で答えてくれたのだった。<br />　打ち上げでこんなことが起きた。師匠の朋友で医者がいる。その先生が打ち上げを開いてくれたのだが、話題が文都兄さんの病気になり、先生が言った。<br />　「がんになるとね、色々な奴が寄ってくるよ。このサプリメントが効くだとか、寿命を延ばすパワーを与えるとかね。そういうインチキにひっかかると取り返しのつかないことになるから、ちゃんと医学を信じた方がいいよ」<br />　私の話はこれですべて消えた。きっと文都兄さんは心の中でこう思っているにちがいない。<br />　「志らくの奴、わいを陥れようとしおってからに、ああ、危ない危ない」<br />　師匠が帰った後も、文都兄さんは座がしらけないよう懸命に話題を盛り上げていた。病気なのに、先生にお酌をし、先生が退屈しないようにまるでレポーターのように質問を浴びせていた。<br />　あくる日、文都兄さんから携帯にメッセージが入っていた。<br />　「志らくか。昨日の落語のテープがほしいんや。師匠との落語会やしね。記念や。なんとかなるかな」<br />　すぐに電話をすると、<br />　「ごめんな。もうテープは手に入ることになったわ」<br />　「そうでしたか。兄さん、身体、気をつけてくださいね」<br />　「ああ。もしもの時は、例のパワーの話、頼むで！」。<br />　たぶん、そんな話は信じていなかったであろう。でも私に気を使ってくれたのだ。最後の最後まで気を使ってくれた優しい兄さんであった。<br />　これが兄さんとの最後の会話である。その1ヵ月後、文都兄さんは亡くなった。<br />　亡くなった日が、なんと円楽師匠と同じ日。全部、もってかれてしまった。</p>
<p class="bodytxt">　どこまで間が悪いんだよ、兄さん！</p>
<p class="bodytxt">　のらく、文都の二人が死んでしまった。一緒に修業をして、一緒に二つ目になった4人のうち、残っているのは談春兄さんと志らくだけになっちゃった。</p>
<p class="bodytxt">　寂しいよぅ、兄さん！</p>]]></description>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">立川志らくの怒らないでください。</category>
            
            
            <pubDate>Wed, 20 Jan 2010 01:02:18 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>ことば</title>
            <description><![CDATA[<p class="bodytxt">　日本語は難しい。こんなに難しい言語をしゃべる日本人が英語をしゃべることができないはずがない。にもかかわらず、英語をしゃべることができる日本人が少ないということは、いかに学校の英語教育がひどいかということだ。</p>

<p class="bodytxt">　私は落語家だから海外に行った時、実に苦労をする。言葉をつかさどる仕事をしている人間が言葉を取られてしまうからだ。<br />
　<FONT color="red">ロスの空港の税関</FONT>で指紋をとられたことがあるのだが、空港職員が私になにを求めているのかがまったく分からなかった。以前ニューヨークに行った時は指紋をとるなんということはなかったので、かえってとまどってしまった。<br />
　職員は、手を出せ、指紋を押せ！　と言っていたのだが、私はただただ笑みを浮かべて「Yes Yes」とだけ繰り返していた。痺（しび）れを切らした職員が私の手をつかむと、無理矢理指紋を押させたのであった。その姿はほとんど犯罪者である。<br />
　そのことがトラウマになった。ラスベガスでのフードコートでのこと。オニオンリングを注文したのだが、店員が私に携帯電話ほどの機械を目の前にさし出し、なにやら言っている。何と言っていたのかというと、オニオンリングができたらこの機械のランプが点滅するからここまで取りに来い、うんぬん。<br />
　私はそのシステムを知らなかったので慌てふためき、その機械に思わず指紋を押してしまったのだ。フードコートで指紋を押したのは私ぐらいのものだろう。</p>

<p class="bodytxt">　近ごろ、落語を英語でしゃべって外人に聞かせている落語家がいるが、恥ずかしい。ネイティブな英語をしゃべられないのに、落語の面白さを表現できるはずもない。<br />
　私も<FONT color="red">ニューヨークで落語会</FONT>を開催したことがあったが、英語でしゃべるのは無理なので、吹き替えにしようかどうしようかと真剣に悩んだ。でも、落語を吹き替えにしたら私の存在意義はない。ただ座布団に座って口をパクパクさせているだけでは、いくらなんでもみっともない。<br />
　そこでスクリーンをおろして字幕でやることにした。私の落語をあらかじめ英語に翻訳して、スクリーンに字幕を出すのだ。当然、これにはスイッチャーがいるわけで、私が上下（かみしも）を切るのを合図にスイッチングをする（「上下を切る」は、顔を右に向けたり左に向けたりすること。落語では複数の登場人物を演じるため、このような動作をする）。<br />
　しかし、私が本番で、アドリブで......と言ったって、「おう」とか「え？」程度のセリフをはさんだだけなのだが、上下を切ったがために、スイッチャーがわけがわからなくなり、結果、聴いている外人もパニックになってしまった。<br />
　そもそもアメリカ人には字幕を見るという習慣がない。そんな器用なことはできないのである。だからあちらで上映される外国映画は、基本は吹き替えである。</p>

<p class="bodytxt">　それに<FONT color="red">昔のハリウッド映画</FONT>を観ると、フランス人だろうがロシア人だろうが、平然と英語でしゃべっている。ひどいのは戦争映画。敵国のドイツ兵が英語でしゃべっているのだ。「ニュールンベルグ裁判」なんという映画は、裁判の場面で最初のうちはドイツ人はドイツ語をしゃべっているが、途中から全員英語でしゃべりだすのだ。ならば、最初から英語にしとけ。</p>

<p class="bodytxt">　アメリカで日本映画が上映されるときの吹き替えで、笑ってしまうことが多々ある。任侠映画によく登場する「おひかえなすって」は吹き替えにすると「ハウドゥユードゥ」。これしか適当な言葉がないそうだ。</p>

<p class="bodytxt">　日本語は実に多彩。たとえ（比喩）を使った表現も多いが、その分、間違える日本人も多い。<br />
　仕事に遅く来た人に向かって、「今ごろ来たのかい？　まるで重役出勤だね」なんと言うことがあるが、ある人がそれを言い間違えて<FONT color="red">「今ごろ来たのかい、まるで大名行列だね」</FONT>と言ってしまったのを聞いたことがある。<br />
「それじゃあ、まるで裸の王様だよ」というのを<FONT color="red">「まるで裸の王様の耳だよ」</FONT>と言ったやつもいた。「裸の王様」と「王様の耳はロバの耳」とが混ざってしまったのだ。<br />
「余は満足じゃ」という殿様のセリフを<FONT color="red">「余は五体満足じゃ」</FONT>と、健康状態まで言及してしまった人もいる。</p>

<p class="bodytxt">　私の妻の友人がAV女優のスカウトマンをしていて、それを自慢げに吹聴しているというから、「注意してやれ」と私は妻にアドバイスした。<br />
　「ＡＶのスカウトマンってぇのはね、昔で言うところの吉原（よしわら）の女衒（ぜげん）なんだからね」<br />
　妻はその友人に<FONT color="">「私の亭主が言ってたわ。AVのスカウトマンって、昔でいうところのゲシュタポよ！」</FONT>。</p>

<p class="bodytxt">　妻が高校生のころ、学校で狂言鑑賞会なるものが開催された。妻は狂言がなんであるかわからず、言葉から連想した。狂言......狂う言葉......なるほど、頭のおかしい人の芝居に違いない。<br />
　そして本番。狂言である。あの独特のしゃべり方を聞いて、本当に頭のおかしい人たちが懸命に芝居をしていると思い、心の中で「頑張れ！」と応援してしまったそうだ。<br />
　また妻は、ひょっとこを妖怪の一種だと思っていたし、福助を七福神のメンバーだと思っていた。<br />
　さらに妻は、白黒の写真やフイルムを見て、その時代の世の中に色はないと思い込んでいた。私がいつから色がついたんだよとたずねると、「昭和三十年代の後半から徐々に......」。</p>

<p class="bodytxt">　最後に、私の失敗談。バーでの出来事。ママに「志らくさんって左側から見るといい男ね」と言われ、「口がうまいんだから！」と言うべきところを「口ほどにもない！」......侍みたいな口調になってしまったのであった。</p>]]></description>
            <link>http://special.gotoshoin.com/shiraku/post-56.html</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">立川志らくの怒らないでください。</category>
            
            
            <pubDate>Fri, 08 Jan 2010 11:43:18 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>時代劇</title>
            <description><![CDATA[<p class="bodytxt">　今回は有名時代劇。</p>

<p class="bodytxt">　なんといっても里見浩太朗（さとみこうたろう）の<font color="red">水戸黄門</font>役はおかしい。だれがなんと言ってもおかしい。石坂浩二（いしざかこうじ）の水戸黄門もおかしかったが、里見浩太朗はけっして水戸黄門には見えない。ジェームズ・ボンドをシュワルツネッガーが演じるくらいの違和感がある。</p>

<p class="bodytxt">　<font color="red">「遠山の金さん」</font>は、時代劇の中で最も人気を博したシリーズであろう。日本人は金さんが好きなのだ。だから裁判員制度なんぞ、日本人にむいているはずがない。<br />
　議論より情けなのだ。遠山の金さん流に裁（さば）くとしたら、「裁判官が見たから有罪」となる。つまり、遠山様は、自分が手がける事件は、すべて己の目で確かめていなければ裁けないということだ。<br />
　それにしても、下手人（げしゅにん）も能がない。遠山様に「この桜吹雪に見覚えはないか」と聞かれたら、きっぱりと「見覚えはございません」と言えばいいのに。</p>

<p class="bodytxt">　<font color="red">「桃太郎侍」</font>。はっきりいってこいつは殺人鬼である。<br />
　懇意にしている町娘のおとっつぁんが目の前で殺され、そこで「許さん！」と彼はぶち切れる。しかしすぐに殴りこみにいかず、いったん家に帰ってから衣装をチェンジしてやがるのだ。それも随分と派手な着物に替える。<br />
　そして悪代官が越後屋と座敷で祝杯をあげていると、桃太郎侍は照れることもなく庭で踊り始めるのだ。それもお囃子（はやし）つきで。お囃子をやとっているんだろうね、毎回のことだから、月々幾らかでね。お囃子はドラマの効果音ではない。だって何も音がないところで、般若（はんにゃ）の面をつけて頭に布をかぶせて待っていたら、ただの危ない人です。<br />
　悪代官が彼に気がついて「何やつだ！」というと「桃から生まれた桃太郎」とわけのわからない自己紹介をする。「桃太郎」というおとぎ話が一般的になったのは明治になってからです。当然、江戸の人は桃太郎を知らない。それなのに「私は桃から生まれました」と自己紹介なんぞされたら、「出あえ！」なんて悪代官は慌てやしません。頭のおかしなやつが庭に紛れ込んだと思って、ただただ追い払おうとするだけでしょう。<br />
　「出あえ！」というと、どこで待機していたのか家来が大勢飛び出してくる。そして相手は葵（あおい）の御紋（ごもん）をつけているにもかかわらず、つまりは将軍家であることを示しているというのに、なんのためらいもなく家来は桃太郎侍に斬りかかっていく。<br />
　少しは自分の命を大切にしなさいといいたいぐらい、すきだらけの形で斬り込んでいく。また桃太郎も平然と家来を斬り殺す。家来は悪くないのだよ。彼らにだって生活というものがある。家族がいるはずだ。女房もいれば、子供だっているかもしれない。桃太郎侍は少しはそこらへんのことを考えて行動していただきたい。</p>

<p class="bodytxt">　<font color="red">「座頭市」</font>。彼の得意技は壁を伝ってくる虫を、爪楊枝（つまようじ）で一刺しにすることだ。一緒にいた人が驚いて、<br />
　「市（い）っつぁん、どうしたんだい？」<br />
　すると座頭市、<br />
　「へへへ、ヤモリでござんすよ」<br />
　ヤモリとトカゲの区別がついてしまうのである。<br />　
　「座頭市子守唄」という歌を勝新太郎さんが歌っていたが、めいっぱい声を張り上げて「子守唄ぁぁぁぁぁ！」<br />
　寝ている子供が飛び起きるうるささであった。<br />
　目が見えなくて剣の達人という設定はすごいが、勝新太郎さんの兄貴若山富三郎さんが、弟に負けまいと主演した時代劇を覚えているだろうか。「<font color="red">鬼一法眼</font>」（きいちほうがん）といって、耳が聞こえずしゃべることができない侍が登場する時代劇だ。目が見えなくても剣術が強いというのはすごいが、耳が聞こえなくてしゃべることができない場合は、剣術の腕にはあまり影響がない。ただただ気の毒なだけの侍であった。</p>

<p class="bodytxt">　<font color="red">「銭形平次」</font>は教育上、よろしくない時代劇だった。悪人をつかまえるために銭を投げるなんて。石でいいじゃないか。<br />
　私はその昔、「銭形平次」のコントをやったことがある。銭を投げすぎて貧乏になってしまった平次が生活保護をうけているというコントだ。</p>

<p class="bodytxt">　萬屋錦之介（よろずやきんのすけ）の<font color="red">「破れ傘刀舟（とうしゅう）悪人狩り」</font>のコントもやったなぁ。<br />
　悪人に向かって、<br />
　「お前たちは人間じゃねぇ、たたき斬ってやる！」<br />
　が刀舟の決めゼリフ。彼は医者だ。医者の言うセリフじゃない。<br />
　で、私がやったのはどんなコントかというと、刀舟が、<br />
　「お前ら人間じゃねぇ、たたき斬ってやる！」<br />
　といいながら、犬、猫、昆虫、ネズミ......と、あらゆる生き物を斬り殺したものだから、町から小動物が消えてしまい、あるとき、それを不審に思った桃太郎侍が調べにくる。<br />
　「桃から生まれた......」と聞いた刀舟が、<br />
　「お前は人間じゃねぇ、たたき斬ってやる！」<br />
　と言いながら彼に斬りかかるという、実にくだらない内容でした。</p>]]></description>
            <link>http://special.gotoshoin.com/shiraku/post-52.html</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">立川志らくの怒らないでください。</category>
            
            
            <pubDate>Mon, 14 Dec 2009 09:19:49 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>落語会の悲惨</title>
            <description><![CDATA[<p class="bodytxt">　落語家になって25年。これまでさまざまな状況で落語をやってきた。今回は悲惨な落語会についてお話をしよう。</p>
<p class="bodytxt">　まずは客が少なかったエピソードから。<br />　平成7年に真打ちに昇進をした。披露目（ひろめ）の会は有楽町マリオンの朝日ホール。800人の客に見守られながらの晴れやかな会だった。一方、同じその年に、広島で催された落語会。<br />　<font color="red">1000人入る体育館が会場で、客が10人</font>。<br />　その10人が散らばって座っているものだから、居るのか居ないのかわからない。結局、パイプ椅子（いす）を片付けてゴザを一番前に敷き、客を横一列に座らせた。<br />　もはや落語会という雰囲気はなかった。まるで時代劇のお白州（しらす）である。客は下手人（げしゅにん）であった。<br />　私はそれでも懸命に落語を語っていたが、実は私は近眼。高座ではコンタクトを入れていない。落語を語っていて実に違和感があった。確かに客は10人。しかし目を細めて勘定してみると、1人は犬であった。人間に挟まれて犬が座っていたのだ。<font color="red">10人のうち人間は9人であとの1人は犬</font>。犬は、落語の途中で吠（ほ）えながら出ていってしまった。<br />　私は落語会が終了してから、会の責任者に苦情を言った。<br />　「客が少ないのはいいのですが、犬は勘弁してください。落語の途中でワンワン吠えてうるさくてやりづらかったですよ！」<br />　すると、責任者はこう返答した。<br />　「あの犬はワンワン吠えていたのではありません。志らくさんの落語にウケていたのです」<br />　......嘘つけ！</p>
<p class="bodytxt">　<font color="red">遊園地の野外ステージで落語をやった</font>ときのこと。その催し物は、さまざまな演芸が登場する内容だった。曲芸、マジック、ダンスショウなどなど。私の出番の前の出し物が、なんとポリネシアンショウ。裸の男女が何人も飛び出してきて、太鼓のリズムに合わせて松明（たいまつ）を振り回すのだ。会場は大盛り上がり。<br />　これが済んで私の登場。落語だから地味である。ポリネシアンショウの後に、三味線の音にのって着物姿の男がちょこちょこ出てきて座布団（ざぶとん）に座って「えー」なんて話をしたって、だれも聴きません。<br />　ましてや、その会場は、客席とステージの間に3メートルぐらいの池があり、私が<font color="red">落語をやっている最中にカップルを乗せたボートが横切りやがった</font>。</p>
<p class="bodytxt">　<font color="red">デパートの売り場で落語をやってこともある</font>。まだ駆け出しのころの話だ。商品ケースの上に座布団を置いて、その上に座って小噺（こばなし）をやりつつ商品の宣伝をするのだ。実に恥ずかしい。<br />　それ以上に恥ずかしかったのが、登場のときだ。落語家だから出囃子（でばやし）が必要だということになり、まさか店内放送で出囃子を流すわけにもいかず、<font color="red">登場する私がラジカセを片手に出囃子を流しながら歩いてくる</font>のである。買い物客は、危ない人物だと思い、皆私を避けながら通り過ぎたのであった。</p>
<p class="bodytxt">　<font color="red">結婚式で落語をやった</font>ことも何度かある。一番悲惨だったのが、新郎新婦が結婚の記念に、「志らくさんの落語を結婚パーティでどうしても聴きたい」と言ってきて、そこで落語をやらされたことだ。私は来賓（らいひん）に背中を向けて、高砂（たかさご）の席にいる二人に向かって落語を語ることになった。<br />　当然、来賓は面白くもなんともない。勝手に飲み食いをしている。新郎新婦も騒ぐ来賓に気が気ではなく、結局彼らもちゃんと落語を聴かず、なんのために私は落語を語っているのか、不思議な気分になった。</p>
<p class="bodytxt">　「<font color="red">引き出物として志らくさんの落語を客に聞かせたい</font>」という結婚式もあった。客はいい迷惑だ。夫婦茶碗（めおとぢゃわん）でももらえるのかと思いきや、落語だ。落語というものは引き出物すべき芸能ではありません。</p>
<p class="bodytxt">　<font color="red">焼肉屋の宴会で落語をやらされた</font>ときもひどかった。私が落語を始めたとたん、客がいっせいに肉を焼き始めた。ジュージュー、うるさくて落語どころではなかった。</p>
<p class="bodytxt">　これらの経験をふまえて、今日の私は、ちゃんとした状況でしか絶対に落語をしないことにしている。<br />　ただ、<font color="red">ニューヨークで落語をやった</font>ときは困った。ちゃんとした状況での落語会ではあるが、<font color="red">客はアメリカ人だ。言葉が通じない</font>。<br />　吹き替えにしてもらおうかと思ったが、落語を吹き替えにしたら私の存在意義がなくなる。英語で落語を語る落語家もいるが、ナンセンスなことで、ネイティブな英語を喋られない落語家が英語で落語を語れるはずもない。そこで私はスクリーンを出して字幕で落語をやった。スイッチチャーが、私が上下を切るたびにスイッチングをするのである。<br />　これには欠点があった。一切アドリブができないのである。少しでも上下を切る順番が変わったら、字幕がずれてしまうことになる。ただただ演じていて、くたびれただけの高座であった。</p>
<p class="bodytxt">　<font color="red">手話の通訳の人が横について落語をやった</font>こともある。手話をやる人に「あらかじめ練習をした方がいいですよ」とアドバイスしたが、同時通訳と同じで、「ぶっつけ本番で大丈夫だ」とぬかしやがった。<br />　私の落語はとにかく早い。ぶっつけ本番で同時通訳ができるはずがない。やれるものならやってみろと、私は一切手を抜かず、いつも通りに落語を語った。手話の人は、私の落語についてこれず、途中で断念しておりました。</p>
<p class="bodytxt">　最後に、近眼ゆえの私の悲劇を一つ。<br />　自分の師匠が落語を舞台そでで聴いていると、最高に緊張するものである。談志が舞台そでにくるとそのオーラで高座にいる弟子は師匠の存在に気がつく。<br />　あるとき、<font color="red">客席の一番前に談志が座っていた</font>ことがあった。私の緊張はピークに達した。師匠が客席に座って弟子の落語を聴く何てことはまずない。それも一番前だ。私はどきまぎしてしまい、生涯で最低の落語を演じてしまった。<br />　高座をおりて、眼鏡をかけて客席をのぞいてみて腰がぬけた。そこにいたのは談志ではなく、ただのおばちゃんだった。<br />　カチューシャのようなものを頭につけていたのだが、近眼の私には、それが、談志のトレードマークのバンダナに見え、べっ甲の眼鏡がサングラスに、袋菓子をつまんでいる姿が談志特有の、上下に手を動かす仕草に見えてしまったのだ。<br />　ただのおばちゃんに緊張して、私の落語がメロメロになってしまったのでした。</p>]]></description>
            <link>http://special.gotoshoin.com/shiraku/post-49.html</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">立川志らくの怒らないでください。</category>
            
            
            <pubDate>Mon, 07 Dec 2009 08:59:45 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>落語家</title>
            <description><![CDATA[<p class="bodytxt">　今回は勇気を出して落語家について。<br />
　以前、自著で落語家を乗り物に例えて、ファンからは喝采（かっさい）、同業者からはブーイングが起きたことがあった。<br />
　<FONT color="red">談志</FONT>は新幹線、<FONT color="red">志ん朝</FONT>がブルートレイン、<FONT color="red">小さん</FONT>がSL。<br />
　駄目な落語家は駕籠屋（かごや）。時代遅れの新作落語をやる人は人力車（じんりきしゃ）。新幹線が駕籠屋に向かって「もっと早く走れ」といっても無駄、と書いてしまい、ひんしゅくを買ってしまった次第で。</p>

<p class="bodytxt">　いきなりだが、<FONT color="red">盗撮で捕まった落語家</FONT>が出現した。ネット上でバッシングの嵐が吹き荒れていたが、一番、的を射ていた意見が「女のスカートの中をのぞかないとわからない程度の想像力で、よく落語を語れるもんだ！」である。<br />
　事件は不起訴。落語協会からの罰則は1年の寄席出演の禁止。おいおい。どうしてすぐに出演させないのだ。トリをとらせるべきだ。「盗撮野郎が出演していますよ！」と宣伝すれば大入り間違いない。落語界とは元来こういう姿勢でいるのが本当だ。</p>

<p class="bodytxt">　<FONT color="red">円楽師匠</FONT>がお亡くなりになった。弟子の楽春さんに聞いた話をひとつ。円楽師匠が「とよ」という歌手が気になっていたそうだ。弟子をつかまえて「いいね、あのとよはね」。だれも「とよ」を知らない。すると円楽師匠、「人気があるじゃないか。ほら、クスリで死んだ、尾崎とよ」......豊（ゆたか）ですよ！</p>

<p class="bodytxt">　<FONT color="red">談志</FONT>が<FONT color="red">円楽師匠</FONT>にフレッド・アステアの珍しいビデオを貸した。しばらくして戻ってきたビデオを観て談志は愕然（がくぜん）とした。アステアの上に他のテレビ番組が録画されていたのだ。談志はすぐさま円楽師匠のところに電話をして文句を言った。<br />
　「おい、円楽！なんてことしやがったんだ！」<br />
　すると円楽師匠、「はいはい、そうなの、ははははは」。<br />
　30分間、ただただ笑い続けていたそうだ。</p>

<p class="bodytxt">　<FONT color="red">談志</FONT>の渾身（こんしん）のイリュージョン落語（非日常の狂気の世界。落語の本質）を語っていた円楽師匠が一言。<br />
　「......芸が荒れているね」</p>

<p class="bodytxt">　泰葉事件で世間の注目を浴びた<FONT color="red">小朝師匠</FONT>。<FONT color="red">談志</FONT>は騒動中の小朝師匠を見て一言。<br />
　「なんだ、あいつの頭は」<br />
　ある意味、「金髪豚野郎」よりきつい。私は心の中で「スライムみたい」だと思っている。</p>

<p class="bodytxt">　渋い語り口と長いマクラで大人気の<FONT color="red">小三治師匠</FONT>。大の甘党で、高座のわきに置く湯のみの中に、ピーチネクターが入っているという都市伝説がある。</p>

<p class="bodytxt">　小三治師匠がNHKのテレビ番組に出演の際、<FONT color="red">茂木健一郎</FONT>がこの大御所に蕎麦（そば）を食べる仕草をリクエストしたが、彼の脳みそは落語の部分では死滅しているといわざるを得ない。<br />
　失礼すぎるぞ！　勘三郎に向かって、「見栄を切ってください」と言う人がいるか？　談志に、「饅頭（まんじゅう）を食べる仕草をしてくれ」なんと言おうものなら、生放送だろうがその場で帰っちゃうね。私でも帰ると思う。</p>

<p class="bodytxt">　名人<FONT color="red">志ん朝師匠</FONT>のお話。落語の魅力は？　と問われて、談志は「落語は人間の業の肯定」と答えたのに対し、志ん朝師匠は「狸（たぬき）や狐（きつね）が出てくるところ」と答えた。</p>

<p class="bodytxt">　春風亭勢朝さんに聞いた話。<FONT color="red">志ん朝師匠</FONT>といえば「錦松梅」のコマーシャルで有名だが、ある人が「志ん朝師匠は普段から錦松梅をお食べになるのですか」と聞くと、「だれがあんなゴミみたいなものを食べますか」と志ん朝師匠が言ったとか言わないとか。</p>

<p class="bodytxt">　私の兄弟子（あにでし）の話をいくつか。<FONT color="red">志の輔兄（あに）さん</FONT>。いつもくたびれている。楽屋に入ってくるとまるでゾンビのようだ。そのくせ養命酒のコマーシャルをしていた。養命酒が身体に効かないことを宣伝して歩いているようなものだ。<br />
　まあ、いくら養命酒を飲んだところで、インスタントのやきぞばばかり食べていたら、そりゃ身体を壊しますよ。</p>

<p class="bodytxt">　『赤めだか』という青春記が売れて調子にのっている<FONT color="red">談春兄さん</FONT>。この人は実に乱暴者。私は以前、デパートの屋上で金魚すくいを一緒にやったことがある。彼は金魚すくいの名人で、またたくまに大量の金魚をすくった。店の人が驚愕し、金魚の値段をいうと、談春兄さんは鼻で笑いながら、「......いらねーよ！」と水槽に金魚をバシャっと戻したのであった。</p>

<p class="bodytxt">　まだ電車の改札に駅員が立っていたころの話。改札から出たとき、購入した切符が30円ばかり足りなかった。当然、駅員は<br />
　「お客さん、30円足りませんよ！」<br />
　と声を上げた。すると談春兄さん、振り返り、<br />
　「ほしけりゃ、くれてやらぁ！」<br />
　と、銭を駅員に投げつけたのである。銭形平次か！</p>

<p class="bodytxt">　『赤めだか』を読んで感銘をうけた雑誌社の人がインタビューを談春に申し込んだ。談春から話を聞き終えて雑誌社の人が一言、<br />
　「赤めだかに登場していた純情な青年は私の前にはいなかったんですけど」</p>

<p class="bodytxt">　借金問題で立川流を除名になった<FONT color="red">快楽亭ブラック</FONT>さん。彼は大の競馬好き。それが高じて2000万円の借金をこしらえてしまった。何度か競馬場で彼を見かけたことがある。一番面白かったのが、ジャパンカップの日。海外から有力馬がたくさん来日するレースだ。ブラックさんはアメリカ人と日本人の混血で、見た目はまったくのアメリカ人。ジャパンカップ当日、着物姿で馬券を買いまくるブラックさんだったが、彼を知らない若者は、口々に、<br />
　「観てごらん、海外の馬主さんがいるよ」<br />
　と言っていた。</p>

<p class="bodytxt">　ブラックさんは借金だらけになり、住む家をなくし、しばらくの間、弟子のアパートに住み込んでいたそうだ。立川流の顧問で作家の吉川潮先生が上手いことを言った。<br />
　「弟子が師匠の家に住み込んで修行をする内弟子というのは聞いたことがあるが、ブラックの場合は、師匠が弟子の家に住み込んでいるのだから、内師匠だな」<br />
　嫌だなぁ、「内師匠」。</p>

<p class="bodytxt">　最後に<FONT color="red">師匠談志</FONT>の話。<br />
　談志が東京江戸博物館で「談志・江戸を語る」という講演をおこなった。客の多くは江戸を勉強しようと集まってきていた。しかし談志は、己の文明論を展開。かなりきわどい北朝鮮の拉致（らち）問題や、テロ問題を語りまくった。客はどんどんひいていった。そこで談志は、<br />
　「つまらないかい。つまらないと思うやつは帰ればいいんです」<br />
　と言い放った。すると一人のおじさんが、<br />
　「つまらんから、俺は帰る！」<br />
　と怒鳴った。これに対し談志は、マイクをつかんで激怒した。<br />
　「けぇれ！けぇれ！」<br />
　客は、「帰る！帰る！」。<br />
　客席は凍りついた。おじさんが帰った後、談志が一言。<br />
　「......こういった喧嘩（けんか）は、マイクを持っているほうが強いんです」</p>]]></description>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">立川志らくの怒らないでください。</category>
            
            
            <pubDate>Sat, 28 Nov 2009 13:12:37 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>電車の中の大人</title>
            <description><![CDATA[<p class="bodytxt">　近ごろの大人は若者に小言（こごと）をいわない。昔は町内にひとり雷オヤジなるものがいて、悪ガキをつかまえては怒鳴りつけた、なんて言われている。<br />
　現在では、電車の中で騒ぐ若者に意見をして、あべこべに殴られてしまったという話も聞く。大人が怖くないから子供は大人をなめる。大人をカッコイイと思えないから、子供はいつまでたっても大人になろうとしない。</p>

<p class="bodytxt">　私の<font color="red">師匠談志</font>は数少ないカッコイイ大人である。電車の中でうるさい若者がいると平気で怒鳴りつける。以前、談志が自分の母親と電車に乗ったときのこと。学生が脚を広げて、7人がけのところを4人で占領していた。師匠の母親を見ても彼らは席を譲るどころか、詰めようともしなかった。そこで談志は怒鳴った。<br />
　「俺のおっかさんが座るんだから、お前ら、全員立て！」
　若者はびっくりして直立不動になって、席を譲った。</p>

<p class="bodytxt">　やはり電車の中。<font color="red">若い母親</font>が騒ぐ幼児をほったらかして、友達とおしゃべりに夢中になっていた。乗客の大半がこの子供に辟易（へきえき）していた。<br />
　談志は最初のうちは子供に向かって「静かにしなさい」と注意していた。しかし子供は騒ぐのをやめない。談志の言葉は母親の耳にも届いているはずである。談志はその母親に向かって怒鳴った。<br />
　「そのガキ、絞め殺せ！」<br />
　その母親もずいぶんと驚いたことだろう。慌てて我が子を抱きしめていた。そして怒鳴り声の方を見てみると、そのときの談志のいでたちが、ビンラディンの顔がプリントがされているＴシャツ。そのシャツだけでも驚きなのに、怒っているのがバンダナ姿の立川談志。凄（すご）すぎます。</p>

<p class="bodytxt">　こんなエピソードもある。満員電車での出来事。弟子と並んで座っていた談志の前に<font color="red">おばあさん</font>が立った。そのおばあさんが、いかに自分が座りたいかをアピールし始めた。その行為に談志は怒った。横に座っている弟子に向かって、<br />
　「このばあさんに、『あんただけには席を譲りたくない』と言え！」<br />
　弟子は師匠の命令なので泣く泣くおばあさんに、<br />
　「あんただけには席を譲りたくない」<br />
　と告げた。電車の中に嫌な空気が充満した。</p>

<p class="bodytxt">　日本の電車事情もこれからどんどん変わっていくだろう。ニューヨークの地下鉄並みになるのも時間の問題ではなかろうか。ニューヨークの地下鉄ではのべつポリスが乗り合わせている。事件を未然に防ぐためだ。日本でもお巡りさんが乗って、若者を叱（しか）ればいい。<br />
　<font color="red">イヤホンからカシャカシャ音を垂れ流しているやかましい若者</font>がいたら、はさみでイヤホンを切っちゃえ。<br />
　<font color="red">携帯電話で話しているやつ</font>がいたら、携帯を奪って窓から捨てちゃえ。<br />
　電車の中で<font color="red">堂々と化粧をしているやつ</font>がいたら、売春の容疑でしょっぴけ。</p>

<p class="bodytxt">　電車の中で<font color="red">大声でしゃべっているバカカップル</font>にも腹が立つ。<br />
　「ねえ、なめこおろしって知ってる？」<br />
　「聞いたこと、あっけど」<br />
　「超おいしいんだって」<br />
　「信じられねぇ」<br />
　「自分で作ってみようと思って」<br />
　「チャレンジャーじゃねぇ？」<br />
　「そんで、なめこを買って、大根おろしの上にかけたんだけど、味がしなくて」<br />
　「超不思議じゃねぇ？」<br />
　「生のままかけちゃったから味がしなかったみたい。親に超笑われたんだけど。ビン詰のなめこじゃないと駄目なんだって」<br />
　「ビン詰のなめこなんて、超信じられねぇ」<br />
　......お前ら、黙ってろ！</p>

<p class="bodytxt">　電車の中の<font color="red">おばちゃんグループ</font>で困った人もいる。新幹線などで、二人がけのイスを回して向かい合わせで座っているおばちゃんがいるが、それが4人ならばなんら問題がないが、3人だったりすると、これは困ったことになる場合がある。ひとつ空いている席が私の席だったときの悲しさときたらない。道中、ずっと見ず知らずのおばちゃんと向かい合わせになり、夢中で弁当やお菓子を食らうおばちゃんを見ていなくてはならなくなる。さらに、<br />
　「こんなおばあちゃんでごめんさねぇ。お兄さん、大人しいけど猫をかぶっているんでしょ」<br />
　「いえ、そんなことはありませんが」<br />
　「若い子だったら、たくさん話すくせに」<br />
　「いえいえ」<br />
　......話に参加させられたりする。<br />
　寅（とら）さんだったらここから話に華が咲くだろうが、私は寅さんではないので、ただただ地蔵になる。目的地に着くまで、地獄の時間である。</p>]]></description>
            <link>http://special.gotoshoin.com/shiraku/post-43.html</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">立川志らくの怒らないでください。</category>
            
            
            <pubDate>Fri, 20 Nov 2009 10:26:32 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>プロ野球</title>
            <description><![CDATA[<p class="bodytxt">　プロ野球にいちゃもんをつける。<br />
　日本のプロ野球は果たしてどのくらい強いのだろうか？</p>

<p class="bodytxt">　WBCで2回続けて優勝をしたが、韓国には五分の戦い。少し前までは韓国のプロ野球はかなりレベルが低いと言われていた。現に、日本で通用しなくなった選手があちらに行って活躍をした、なんという話がたくさんあった。<br />
　それなのに近ごろでは、永遠のライバルみたいに言われている。日本はWBCで優勝をしたということは世界一のはずなにの、いつのまにか韓国と同レベルになっている。おかしな話だ！</p>

<p class="bodytxt">　だいたい<FONT color="red">WBCに参加する日本人大リーガー</FONT>の言い分が意味不明。日本のプロ野球が世界一だということを証明するために戦うなんて言っていたが、日本が世界一だと思っているのならば、アメリカなんぞに行くことはないじゃないか。</p>

<p class="bodytxt">　そもそも<FONT color="red">大リーグ</FONT>もなんだかわからん。ワールドシリーズとは大袈裟（おおげさ）な。アメリカで一番を決めるシリーズをワールドシリーズとは、他の国をなめているよ。日本シリーズをアジアシリーズと言っているようなもんだ。</p>

<p class="bodytxt">　日本のプロ野球の真のレベルを計るために、日本シリーズで優勝したチームが次の年、1年間大リーグに参加すればよろしい。そして大リーグで一番弱いチームが日本リーグに参加する。日本で一番弱いチームは、韓国リーグに、韓国で一番のチームが日本リーグに参加......面倒くさいからアメリカも韓国も日本も台湾も全部一緒に戦っちゃいなさい。</p>

<p class="bodytxt">　<FONT color="red">プロ野球中継の解説</FONT>の酷（ひど）さはあらゆる御仁が言っているから私が今さら言うこともないのだが、平然と当たり前のことを言う人、いるよね。<br />
　アナウンサーが「この回は巨人はどういう攻撃をしてきますかね」なんて聞かれると、「そうですね、１点を取りにいくでしょうね」、当たり前だ！<br />
　「守る阪神はどうでしょうか？」「１点もやりたくないでしょう」......馬鹿か。</p>

<p class="bodytxt">　「野球は筋書きのないドラマだから面白い」という不用意な言葉も気に入らない。ドラマとは筋書きがあるから面白いんだ。脚本家を馬鹿にしているのか！　筋書きのないドラマが面白いのならば、脚本家はみな廃業です。</p>

<p class="bodytxt">　「9回の裏2アウト、点差は8点。しかし野球は何が起こるかわかりませんからね」って、分かるよ、野球に起こるのは、点が入るかどうかだけ。クルーンが投げたら、急に北朝鮮から横田めぐみさんが帰ってきたというのならば、何が起こるかわからないと言ってよい。メチャクチャな論理です。</p>

<p class="bodytxt">　プロ野球ではないが、甲子園でよくお見かけする一塁への<FONT color="red">ヘッドスライディング</FONT>、あれは女々しい。誰がどうやっても間に合わないと分かっているのに、頭から一塁に突っ込んでいく。あれは、そのぐらい一塁に行きたかったという選手の気持ちの現れだ。　普通にやればヘッドスライディングより駆け抜けた方が絶対に早い。ヘッドスライディングの方が早いことになれば、100メートル走なんか全員、選手はゴールでヘッドスライディングをすればよろしい。</p>

<p class="bodytxt">　<FONT color="red">デッドボール</FONT>が故意かどうかという問題。私はかなりの数が故意だとにらんでいる。<br />
　だって、あの硬い球をぶつけたんだよ。140キロぐらいのスピードで硬球がぶつかる衝撃は並大抵のものではなかろう。これが頭だったらぶつけた方はどんな気持になる？　ましてや相手は同業者だ。知らない顔ではない。普通の感覚ならば、マウンドから飛び降りて彼の元に駆けつけ、「大丈夫か？　すまない、手元が狂ったんだ。おい、医者を早く呼べ！　ぐずぐずするな。おい、しっかりしろ、しっかりしろ！」と、こうなるのではないか。<br />
　それが連中は、軽く会釈だ。わざとだとしか思えない。</p>

<p class="bodytxt">　<FONT color="red">クライマックスシリーズ</FONT>は本当に間抜けだ。3位まで入ったチームは日本シリーズに行ける可能性があるとは、なんのためのペナントレースなんだ？　こんな間抜けなことをするのならば、クライマックスシリーズは1位から6位まで全チームでやれば？<br />
　消化ゲームをなくす手段なのだろうが、それならば、逆のクライマックスシリーズをやっていただきたい。4位から6位までのチームが戦って一番弱いチームを選び、裏日本シリーズをやるのだ。<br />
　日本で一番弱いチームはどこか。これは盛り上がる。そして最後に一番弱いチームが日本シリーズで優勝した、つまり一番強いチームと戦うのだ。<br />
　これで一番弱いチームが勝った日には、野球っていったい何だかわからなくなるよ。</p>]]></description>
            <link>http://special.gotoshoin.com/shiraku/post-40.html</link>
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            <pubDate>Mon, 16 Nov 2009 09:12:37 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>法律</title>
            <description><![CDATA[<p class="bodytxt">　日本のギャンブルと売春事情は実に変だ。<br />　<font color="red">パチンコ</font>はあきらかにギャンブルであるのに、「そうでない」と国が認めている。景品目当てでパチンコ屋に行く人なんているのか？　皆、金ほしさに行っている。<br />　日本にもカジノを作ろうなんて頑張っている政治家がいるが、これだけ国中にパチンコ屋があるのだから十分である。</p>
<p class="bodytxt">　パチンコをギャンブルにしないために、店側も苦肉の策をとっている。<br />　まず店の中では100パーセント換金はできない。玉が出るとこれを景品カウンターでライターの石みたいな、なんだかよく分からないものと交換させる。そして客は店外の換金所に向かう。この場所がなかなかわからない。店のすぐそばにあるところもあれば、かなり離れた所にある場合もある。大抵の場合は、雑居ビルの奥にひっそりとそれは存在する。<br />　窓口がいくつか並んでいて、手前の引き出しにパチンコ屋で玉と引き換えに渡されたライターの石を入れると、陰険そうな、キヨスクの店員を数十倍愛想を悪くしたようなおばちゃんが無言でその石を数え始める。当然、挨拶もなければ「いらっしゃいませ」もない。<br />　やがて小さな電光掲示板に金額が表示され、引き出しに無造作に金が放り込まれ、それを客も無言で受け取り、その場をこそこそと去るのだ。</p>
<p class="bodytxt">　つまりなにをしているかというと、ライターの石をその無愛想なおばちゃんに我々が売ったのである。だからこれは売買であり、ギャンブルではないということになるのだ。でも我々は本来、ライターの石を売るのが商売ではないから、なんとも決まりが悪く、こそこそとしてしまうのである。<br />　競馬場で当たり馬券を換金するときは堂々としていられるのに、パチンコの換金はとっても悪いことをしている気分になる。ギャンブルの精神からしても、パチンコの方がよりギャンブル的であると言えまいか。</p>
<p class="bodytxt">　売春に話を移そう。日本の法律では売春は禁止されている。でも堂々と行われている売春がある。<font color="red">ソープランド</font>である。<br />　あそこにいる女性とお話を目的だけで行く人なんてまずいない。女の肉体を買いに行くのだ。でも法的には、あの密室の中では売春は行われていないことになっている。<br />　あそこは風呂屋なのだ。それが証拠に入り口に入浴料と記されている。ならばもう少し門構えを銭湯らしくしていただきたいがね。そうすれば、吉原（現在の台東区千束。江戸時代に遊郭が集積して栄えた地域で、現在は日本一のソープランド街）も随分と、風情のある町になるのだが。</p>
<p class="bodytxt">　ソープランドとは、とどのつまりが、客が高額な入浴料を支払って風呂に入りに行っていることになっているのだ。そして女の三助（さんすけ）がサービスをしてくれるのだが、性行為に関しては個人の自由であり、売春ではない、とこうなる。</p>
<p class="bodytxt">　どうも日本人は法律の合間をつき、都合よく解釈するのが得意な民族らしい。考えてみると、<font color="red">自衛隊</font>の存在からして変だ。憲法で日本国は軍隊を持ってはいけないことになっている。でもそれでは困るので軍隊ではなく、自衛のための集団をこしらえた。自分たちから攻めることはないが、攻めてきたら守るために攻めますよという、これが自衛隊だ。</p>
<p class="bodytxt">　でも、自衛隊は誰がどうみても軍隊だ。戦車を持っているではないか。軍服みたいな服を着ているではないか。見た目が全くの軍隊だ。<br />　引っ越し屋は引っ越し屋の格好をしているし、コックはコックの格好をしている。人はまず、見た目から判断をする。パンチパーマで、サングラスをして、高級そうだが品の悪いスーツを着て、小指がなくて、ベンツに乗っていて、「私はヤクザじゃありません」といったって、世間ではこういった人をヤクザという。</p>
<p class="bodytxt">　だから北海道の雪祭りで活躍をしようが、洪水のときに中州で取り残された釣り人をヘリコプターで救出しようが、あの姿では軍隊なのである。<br />「イラクに物資を運びに行っただけ」と主張しても、軍隊の姿で手伝っていたらテロリストは日本から軍人が来たと思ってしまうのだ。どうしても自衛隊は軍隊ではないというのならば、普段は黄色いTシャツでも着て活動をしなさいね。</p>]]></description>
            <link>http://special.gotoshoin.com/shiraku/post-37.html</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">立川志らくの怒らないでください。</category>
            
            
            <pubDate>Sat, 07 Nov 2009 02:56:39 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>電車</title>
            <description><![CDATA[<p class="bodytxt">今回の悪口のターゲットは電車。<br />　私も愛用しているのだが、<font color="red">SUICA</font>と<font color="red">PASMO</font>、あれは精神的によろしくない。使うたびに金額が減っていくというのはストレスになる。1000円を切ると改札の表示が赤文字になり精神を圧迫してくる。<br />　そんなことどうでもいいだろうとおっしゃる御仁もいるだろうが、現代社会のストレスとは、こういった小さなものの積み重ねなのだ。</p>
<p class="bodytxt">　<font color="red">JR</font>の行為で一番腹立たしいのが、駅のホームで購入する<font color="red">グリーン券</font>だ。ご存じない方のために説明をしておこう。<br />　首都圏では通勤に使う電車にも「グリーン車」がある。このグリーン車に乗るにはグリーン券を買わなくてはならない。<br />　たとえば東海道線は、普通車両と特急車両が一緒になって走っている。品川から横浜ぐらいの距離ならば普通列車に乗車するのが普通であろう。これが品川から大船あたりまでとなると、ちょいと旅行気分で特急車両に乗ってみたくなる。旅行気分でなくても普通車両が混雑しているとき、あるいはどうしても疲れていて座りたいときに特急車両に乗ろうということになる。その場合は、みどりの窓口ではなくホームの券売機でグリーン券を購入することがある。<br />　現在は、SUICAの類でしか購入できないシステムになっている。ホームの発券機にSUICAを入れるとグリーン券代金を引かれ、それを持って列車に乗り込み、空いている席の上にあるSUICAのマークにカードをがざすとランプが消えてそこが自分の座席になるという仕組みだ。<br />　なにが腹立たしいかというと、まず特急車両が満席で座れなくても、料金は取られたままになるのだ。高い金を払って通路に立たされるのだからたまらない。いくら車両がきれいだからといって、座れもしないのに余計な金を払う人はいない。落語でいえば、吉原に遊びに行って女郎に振られて金だけとられたみたいな気分になるじゃないか。例えがちょっと変だが。<br />　返金しないということは、その手間が面倒だということ意外に理由が見当たらない。<br />　さらにむかつくのが、この状況を回避すらために、ホームの券売機でグリーン券を買わず、電車がホームに入ってきて特急車両が空いていることを確かめて、やれ安心と電車に乗り込み、中で精算をしようとすると、金額が違うのである。あらかじめ告知はされているが、知らせりゃいいというものではない。電車の中で買うと高いのだ。そんな馬鹿な話があるか。<br />　落語会に行って、受付でチケットを購入したら3000円で、もう開演しちゃったからとりあえず会場に飛び込んで、会場内でチケットを購入したら3500円だった、なんて話は聞いたことがない、というか、そんな状況はまずないですが。<br />　とにもかくにもJRのやっていることは、はっきりいって滅茶苦茶である。</p>
<p class="bodytxt">　<font color="red">朝のラッシュ時</font>に社内の椅子（いす）を全部たたんでしまう、というシステムも失礼だ。ひとりでも多くの人間を詰め込むためなのだが、椅子をなくすというのはいかがなものか。あれではまるで、アウシュビッツに移送されている悲劇のユダヤ人と同じ形だ。人間性を無視しているといわざるを得ない。<br />　私はラッシュになれていないから、たまにそんな状況に出くわすと面食らう。電車に椅子がない！　真ん中のポール状の鉄の棒がむなしく浮かび上がって見える。この棒にすがりついて、人の波に押されていると、なんだかアメリカのストリッパーになった気分になってしまう。</p>
<p class="bodytxt">　<font color="red">山手線の駅名</font>に間違いがあることをご存知かな。<br />　ひとつは<font color="red">「高田馬場」</font>。みな、「たかだのばば」と言うが、正式には「たかたのばば」だ。講談でも「たかたのばば」といっている。そもそも地名からしてあそこは新宿区高田（たかた）ではないか。鉄道のお偉方が田舎の人で、「たかだのばば」と読んじゃったのだろうね。そのせいで今では誰もが「たかだのばば」と間違って覚えてしまった。<br />　もうひとつが<font color="red">「秋葉原」</font>。「あきはばら」と誰もが言うが、本来は「あきばはら」。秋葉様が祭ってある秋葉神社があるから「あきばはら」なのだ。これも田舎の人が「あきはばら」と読んじゃったんだろう。もっとも現在、若者はみな秋葉原のことを「アキバ」というから、元に戻っているんだけどね。</p>
<p class="bodytxt">　<font color="red">「品川」</font>駅が品川区にないというも変な話だ。あそこは港区高輪（たかなわ）だ。ならば「高輪」でいいではないか。「高輪」を「品川」駅にしちゃったから、<font color="red">「北品川」</font>駅がおかしなことになっている。「品川」駅から見て北にないのに「北品川」駅と主張しなくてはいけない。<br />　世間は、弱小駅である「北品川」が間違っていると思ってしまう。本来は、目黒川にかかっている旧東海道の品川橋を中心に南品川、北品川と呼んだのだ。だから「北品川」駅は間違っていない。</p>
<p class="bodytxt">　ちなみに旧東海道は現在一方通行。酷（ひど）い話だ。旅人が出発をしたら戻ってこれないぞ、って、現在旅人はいないけれど。</p>
<p class="bodytxt">　川島雄三監督の名作映画「幕末太陽傳」（ばくまつたいようでん）の舞台になった土蔵相模（どぞうさがみ）という女郎屋の跡が旧東海道にあるのだが、今ではそこにコンビニが立っている。あの辺には女郎屋の他、鉄火場（てっかば）もたくさんあったそうだが、一番大きな鉄火場の跡地に現在「どんぐり保育園」があるのも凄（すご）い。</p>
<p class="bodytxt">　最後は余談でした。</p>]]></description>
            <link>http://special.gotoshoin.com/shiraku/post-33.html</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">立川志らくの怒らないでください。</category>
            
            
            <pubDate>Mon, 02 Nov 2009 16:53:41 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>ウィンタースポーツ</title>
            <description><![CDATA[<p class="bodytxt">　今回の悪口の対象はウインタースポーツ。</p>
<p class="bodytxt">　ウインタースポーツの不自然なところは、スポーツなのに厚着が多い。特に目立つのがスキー競技。寒いのは分かる。でも陸上競技の姿で飛んだり滑ったりしたら、もっといいタイムが出るのではなかろうか。寒がっている場合ではないと思う。</p>
<p class="bodytxt">　スキー競技の中でも、尊敬できる分野もある。<font color="red">モーグル</font>だ。厚着姿でスキー板をはめた状態で宙天高く飛び上がり回転をする。まるで天狗（てんぐ）さまだ。人間業（わざ）とは思えない。</p>
<p class="bodytxt">　<font color="red">リュージュ</font>は間抜けだな。相当なスピードが出るそうだが、遊園地で遊んでいるようにしか見えない。</p>
<p class="bodytxt">　<font color="red">女子フィギアスケート</font>は、一昔前に比べると日本人の選手は様になってきた。だけども、化粧ばりばりのスポーツというのはいかがなものか。すっぴんで美を競っていただきたい。それにあのスタイルは西洋人に有利である。日本人は花魁（おいらん）の衣装を身にまとって三味線（しゃみせん）音楽で舞えば、敵なしだ。</p>
<p class="bodytxt">　<font color="red">男子フィギアスケート</font>は、まったく興味なし。</p>
<p class="bodytxt">　<font color="red">女子スピードスケート</font>は実に不思議だ。器量の良い子が少ない。それともこちらはフィギアと違ってスッピンだからそう見えてしまうのか。でも、スポーツとしてはこちらの方が健全な態度ではある。スピードスケートがフィギアのスタイルでやったら......これは楽しい。<br />
　だけど、なんでスピードスケートは器量の悪い子ばかりで、その上化粧をさせず、頭からゴム生地の地底人みたいなウエアを着せて滑らせるのだろうか？　ゴールへ飛び込んでくると、ほとんどの選手がゴーグルをはずして、頭からウエアをはずし、私は地底人ではない！　とカメラに向かって主張しているように見えるのは私だけだろうか？</p>
<p class="bodytxt">　スピードスケートのスタートをなんとかしてあげたい。100メートル走のようにストッパーのような機械を置くわけにはいかないのか？　何にもないから選手は自分たちでガジガジとスケートぐつで足場を固め、倒れないようにガニマタになり、その姿はまるで五条大橋の弁慶である。　そしてスタートの合図があると、カツカツカツと慌ててガニマタで走り出す。こんなかっこ悪い競技は他に類を見ない。<br />
　カーブは軽やかに脚を交差させて実に美しいが、問題は直線だ。先ほどまでの慌てぶりはすっかり忘れて、両手を後ろに組んで休日のお父さんの散歩のようにのんびりと進んでいく。緊張と緩和と言えなくもないが、慌てていた奴（やつ）が、急に怠けていると私には見える。</p>
<p class="bodytxt">　私が一番嫌いなウインタースポーツは、<font color="red">クロスカントリースキー</font>だ。スキー板をはいて、のんびりと散歩をする競技だ。見ていてまったく面白くない。<br />
　<font color="red">ノルディックスキー</font>になると、ここにジャンプも加わるのだが、ジャンプ競技と比べると、その恐怖に天と地ほどの開きがある。<br />
　見ているほうもジャンプは楽しい。だからぜい、ジャンプを連続でやる競技を作っていただきたい。<br />
　たとえば10回続けてジャンプをするのである。飛距離とタイムをこれで争う。もちろん、ジャンプ台に登っていく時間も含まれるから、選手は大慌てでスキー板を担いで階段を駆け上がっていく。スタートは、ジャンプ台の頂点に横一列に並べるだけ並ぶ。10人は並べるだろう。そしてスタートの合図で10人がいっせいにジャンプするのだ。実に派手だ。<br />
　着陸するとこの10人が階段を駆け上がる。そしてまたジャンプ。すさまじい競技になる。ウインタースポーツ最高の種目になること間違いなしである。</p>
<p class="bodytxt">　これを見てしまったら、だれもスキーのお散歩競技は見なくなるでしょう。</p>
<p class="bodytxt">　一時期話題になった<font color="red">カーリング</font>。あれって別にウインタースポーツでなくてもいいのでは？　元々は氷の上で石ころを転がして遊んだものが始めらしいが、タイルの上でやったって、できそうだ。<br />
　カーリングは、スポーツというよりゲームだ。氷上のチェスといわれているが、日本人からいわせれば氷上のおはじき。情けないのが、あのブラシの係。あの姿は、温泉宿の番頭が湯殿を掃除しているのとほぼ同じだ。スポーツをしているようには見えません。<br />
　掃除人の格好であれをやったら、観客は絶対に掃除中だと思うだろう。<br />
　スピードスケートやフィギアスケートを掃除人の格好でやったとしても、あのスピードとあの回転だから、掃除中だとはだれも思わないはずだ。<br />
　格好を変えるとスポーツに見えないということは、スポーツとして問題があるといわざるを得ない。</p>]]></description>
            <link>http://special.gotoshoin.com/shiraku/post-31.html</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">立川志らくの怒らないでください。</category>
            
            
            <pubDate>Fri, 23 Oct 2009 20:32:53 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>懐かしのアニメ</title>
            <description><![CDATA[<p class="bodytxt"> 　今回は懐かしのアニメの悪口を書く。</p>
<p class="bodytxt">　現在流行（はや）っているマンガはまったく読まないので悪口の言いようがない。ちなみに宮崎アニメはほとんど観ていない。<font color="red">「もののけ姫」</font>は途中で寝てしまったし、<font color="red">「千（せん）と千尋（ちひろ）の神隠し」</font>は、観ているうちにどうでもよくなってほかのことを考えながら観ていたので、筋すら覚えていない。<br />
　宮崎アニメの嫌いなところは、こういう題材のアニメをつくれば世の中が騒ぐというのが計算しつくされているというのが見えすぎるところだ。年々、その傾向が強くなっている。</p>

<p class="bodytxt">　最近のアニメで悪口をひとつ。それは手塚治虫作品である。<br />
　手塚治虫のマンガは悪くいいようがない。どれもこれも見事な作品ばかりだが、このたびの<font color="red">「ＡＴＯＭ」</font>だけは嫌だ。あの「鉄腕アトム」を最新の技術でアニメーション化して、ハリウッドスターが声優を務めるという新作のことだ。<br />
　何が嫌かというと、アトムの顔が違う。登場人物を現代に合った姿に変えたとのことらしいが、手塚先生に失礼ではないか。最新の技術でアトムを蘇（よみがえ）らせることは素晴らしいことだ。でも顔は変えるなよ。物語はある程度変えてもいいが、顔は命だ。手塚先生が生きていたら絶対に怒ると思う。それとも遺言であったのか。「いつの日か鉄腕アトムを最高の技術で蘇らせてくれ。顔を変えてもいいから」と。</p>

<p class="bodytxt">　黒澤明の「七人の侍」をパチンコにしたぐらいの愚行である。</p>

<p class="bodytxt">　まずは国民的アニメ<font color="red">「サザエさん」</font>。<br />
　サザエさんについては過去いろいろといわれてきた。だから、今さら私が言う必要もないが、どうしても気になることがある。それは名前がカタカナということだ。サザエ、カツオ、ワカメ、タラ、マスオ。それとマスオの会社の同僚のアナゴくんというネーミングはひどい。友達も全員魚で統一しているのなら仕方ないが、中島くん、花沢さん、イササカ先生、ここらへんは魚とは無関係である。</p>

<p class="bodytxt"> <font color="red">「宇宙戦艦ヤマト」</font>。<br />
　地球を守るための宇宙船に日本人ばかりというのがあり得ない。イニシアチブはアメリカ人がとるはずである。軍国主義の日本人の発想をそのまま引きずっている。乗組員の中に森雪という美人がひとりいるのも不自然だ。第二次世界大戦の戦艦大和に女が乗っていたらどうなる？　七福神の宝船じゃあるまいし、野郎どもの中に女がひとりは危険すぎるぞ。</p>

<p class="bodytxt"> <font color="red">「巨人の星」</font>。<br />
　星飛馬は自分の魔球がホームランにされると、負けたと肩を落として球場から消えてしまう。ホームランを打たれるたびにそんなにショックを受けていたらプロ野球選手としてやっていけない。　</p>
<p class="bodytxt"> <font color="red">「タイガーマスク」</font>。<br />
 タイガーマスクは普段は伊達直人という優男（やさおとこ）。ちびっこハウスという孤児院に出向き、ボランティアまがいのことをしているが、だれ一人彼をタイガーマスクだとは思わないのだが、プロレスラーなんて町で会えばだれだってわかるぐらいでかいぞ。</p>

<p class="bodytxt"> <font color="red">「タッチ」</font>。達也と和也は双子だが、マドンナの朝倉南だってまったく同じ顔をしているぞ！</p>

<p class="bodytxt">　同じ顔と言えば<font color="red">「魔法使いサリー」</font>。<br />
　サリーちゃんの親友のよし子ちゃんの家族だ。三つ子の兄弟が同じ顔なのは当然だ。お姉さんのよし子が同じ顔なのもまだ分かる。タクシー運転手のお父さんもまったく同じ顔。おいおい。極めつけは死んだ母親まで同じ顔。どんな家族なんだ。</p>

<p class="bodytxt"> <font color="red">「ドラえもん」</font>。<br />
　ドラえもんがポケットから不思議な道具を出すことは驚きだが、それよりなによりあんな生き物が実際に町にいたら、そのことだけで驚きだ。マスコミが黙っていないだろう。ましてや未来からきた猫型ロボットなのだから、科学者が放っておくはずがない。</p>

<p class="bodytxt"> <font color="red">「エースを狙え」</font>。<br />
　ヒロインのライバルのお蝶夫人。あんな高校生、いるか！</p>

<p class="bodytxt"> <font color="red">「アタックナンバー１」</font>。<br />
　バレーボールをやっている女子をもっとちゃんと観察しなさい。あんなにきれいな子はまずいない。</p>

<p class="bodytxt">　それにしても、アニメにいちいち食いついている私は、大人げないね。</p>　]]></description>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">立川志らくの怒らないでください。</category>
            
            
            <pubDate>Fri, 16 Oct 2009 00:00:01 +0900</pubDate>
        </item>
        
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            <title>店</title>
            <description><![CDATA[<p class="bodytxt">　近頃流行の<font color="red">ドラッグストア</font>は酷（ひど）い。確かに便利だが、いちいち店員がうるさい。<br />
　渋谷や新宿の街中で店員が店頭に立って大声で宣伝をしている。あのね、あんたがたが売っているのはなんだい？　薬や化粧品でしょ。そんなに慌てて売るべきものか。<br />
　あの売り方は魚屋である。魚屋は早く売らなきゃ腐っちまうから仕方がないが、どうして薬をあんなに騒いで売るのか。それをなぜ人々が怒らないか不思議でしょうがない。<br />
　たぶん、腐るんだろうね、薬がね。一刻も早く売りたい花屋をごらん。花屋の方がよっぽど騒いで売りたいよ。花屋がドラックストアと同じ売り方をしてごらん。誰も買わないよ。すぐに枯れちゃいそうだもの。</p>
<p class="bodytxt">　<font color="red">賃貸マンションの仲介業</font>もうるさい。駅前などでその会社のテーマソングをガンガン流している。<br />
　私なんか自宅の最寄の駅に行くと自然とその歌を口ずさんでしまっていたりする。気がつくとものすごく損をした気分になる。不動産屋なんだから、もっと陰気にやりなさい。不動産屋は不動産屋らしくしなさい。遊園地に行ったら「昭和枯れすすき」が流れていたらいやでしょ（めちゃくちゃないちゃもんのつけ方だな、我ながら）。不動産屋にテーマソングなんぞいらない！</p>
<p class="bodytxt">　私が一番嫌いなのは、<font color="red">行列のできるこだわりのラーメン屋</font>。ラーメンなんぞ並んで食うほどのものではない。<br />
　スープにやたらこだわりすぎて、あらゆる動物の骨と野菜を煮込み、もはや意味が分からない代物（しろもの）になっている場合が多い。<br />
　豚の背油なんかをできあがったラーメンの上に、チャッチャカ網越しにかけたりする。豚が背中にかいた汗なんかかけてくれるなよ。<br />
　チャーシュウも凝り過ぎて、脂でギトギト。あの手のラーメンを自動車のガソリンタンクに入れたら間違いなく動き出すよ。ラーメン屋の主人に、過ぎたるは及ばざるがごとしという言葉を贈って差し上げたい。<br />
　それと随分と威張っているラーメン屋のおやじがいるね。もっと人間の身体によろしいものをこしらえてから威張りなさい。</p>
<p class="bodytxt">　若者の間では<font color="red">古着屋</font>が流行っているらしい。一度、出かけてみた。<br />
　どんな若者が購入するのだろうかと監視していたら、私服警官と間違えられてしまったよ。<br />
　昔は古着なんか、「死んだ人が着ていたかもしれない」と思って、買うのを躊躇（ちゅうちょ）したものだ。今では古着がおしゃれなんだって。馬鹿か。おさがりを着ておしゃれも何もあったものではない。</p>
<p class="bodytxt">　渋谷の<font color="red">１０９</font>や新宿の<font color="red">アルタ</font>の洋服屋をのぞいてみると、誰が店員で誰が客か見当がつかない。店員は制服を着なさい。</p>
<p class="bodytxt">　私は<font color="red">デパート</font>が嫌いだ。何が嫌いったって、冷暖房を店員側にあわせて調節しているところだ。<br />
　夏場のデパートの寒いこと。冷房をガンガンかけまくる。半袖（はんそで）では到底耐えられない寒さだ。ガタガタ震えながらショッピッングをしなくてはいけない。それなのに店員をごらん、寒いからって薄でのカーディガンを着ているよ。<br />
　冬場は逆。表が寒いから客はコートの下にたくさん着込んで買い物にくる。するとデパートは暖房をかけまくる。客は汗まみれになるから慌ててコートを脱ぐ。手の自由がふさがれて実に動きづらい。で、店員をみると、薄でのカーディガンを着て身軽に立ち回っている。<br />
　なんなんだい？</p>
<p class="bodytxt">　<font color="red">デパートの挨拶</font>も嫌だ。開店のとき、店員が全員並んで挨拶（あいさつ）をしてくる。客は、とっても決まりが悪い気持ちになる。どうして挨拶をされて決まりが悪いかというと、マニュアルの挨拶だからだ。奴（やつ）らは開店前に朝礼をして練習した挨拶をぶつけてくる。<br />
　挨拶なんて稽古（けいこ）するものなのか？　心をこめて自分の言葉ですればよろしい。<br />
　それにどうして開店のときにしか挨拶をしないのだ？　開店の音楽が止まると、くるっと背中を向けて、午前中でありながら誰も「おはようございます」と言わなくなる。<br />
　意味のない挨拶なんかやめていただきたい。</p>
<p class="bodytxt">　最後に<font color="red">コンビニの弁当</font>はまずい。間違いなくまずいのに、テレビのワイドショーかなんかでタレントが出てきてコンビニの新商品を食べたりすると、おいしい！　なんておおげさに騒ぐ。
　おいしいはずがない。私は生まれてこの方、コンビニでおいしいと思える弁当に出合ったことがない。</p>]]></description>
            <link>http://special.gotoshoin.com/shiraku/post-23.html</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">立川志らくの怒らないでください。</category>
            
            
            <pubDate>Sun, 11 Oct 2009 00:00:01 +0900</pubDate>
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